ソラコムは、次世代SIM技術である「iSIM」を同社のデータ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」で利用するための通信モジュールの量産販売を開始したと発表した。
ソラコムは2024年10月30日、次世代SIM技術である「iSIM(Integrated SIM)」を同社のデータ通信サービス「SORACOM Air for セルラー」で利用するための通信モジュールの量産販売を開始したと発表した。Quectel Wireless Solutionsの「BG773A-GL」と村田製作所の「Type 1SC」の2種類で、価格はBG773A-GLがサンプル100個当たり2800米ドル、量産500個当たり9000米ドルから、Type 1SCが量産1000個当たり1万9500米ドルからとなっている。併せて、両通信モジュールとも評価ボードの販売も始める。
iSIMは、従来のセルラー通信では通信モジュール内でセルラーSoC(System on Chip)とは独立して存在していたカード型SIMやeSIM(チップSIM)の機能を、セルラーSoCに1チップに統合する技術である。物理的なSIMやeSIMが不要になるため、IoT(モノのインターネット)デバイスの設計が簡素化され、小型軽量化、省電力化を実現できる。また、通信モジュールとSIMがワンストップになることで、デバイスの製造から販売のライフサイクルにおいて、部品調達や物流、保管コストの削減、環境負荷の低減も期待される。
今回量産発売するiSIM対応の通信モジュールは、SORACOM Air for セルラーのグローバルに対応した通信プラン「plan01s」がプリインストールされている。これにより、1個のSoCとソラコムとの契約だけで、世界中のセルラーネットワークをシームレスに利用することが可能になる。また、両通信モジュールは、複数の回線契約を1台のiSIM対応モジュールの中で切り替えて利用できる「サブスクリプションコンテナ」機能を活用して、OTA(Over the Air)によるアップデートでLTE-MやNB-IoTなどのIoT向けに最適化された通信プラン「planX3」を追加することもできる。
評価ボードの価格はBG773A-GLが150米ドル、Type 1SCが300米ドル。それぞれLTE用アンテナが付属する。なお、外形寸法はBG773A-GLが14.9×12.9×1.9mm、Type 1SCが11.1×11.4×1.5 mmとなっている。
ソラコムはiSIMの商用化に向け2021年7月から、セルラーIoT向けチップセットを開発するSony Semiconductor Israelと、セルラーIoTデバイスにセキュアな認証情報を提供する「Kigen セキュアiSIMオペレーティングシステム」の開発及び供給元であるKigenと共同でiSIMの商用利用を検証していた。
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