Polyuseが量産コンクリート3Dプリンタを初公開 施工現場での設置はわずか5分第4回 建設DX展[大阪](1/2 ページ)

Polyuseは「第4回 建設DX展[大阪]」で、2025年4月に量産開始予定のコンクリート3Dプリンタ「Polyuse One」を披露した。展示会などで同機を公開するのは「初」となり、動作する様子(実際の出力は行っていない)も見ることができた。

» 2024年10月07日 09時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 建設用3Dプリンタを開発するPolyuse(ポリウス)は「第4回 建設DX展[大阪]」(会期:2024年9月11〜13日/会場:インテックス大阪)において、2025年4月に量産開始予定のコンクリート3Dプリンタ「Polyuse One」のデモを公開した。同社が展示会などで同機を展示するのは初めてとなる。Polyuse 代表取締役の大岡航氏にプリンタの詳細について聞いた。

デモ中の建設用3Dプリンタ「Polyuse One」 画像1 デモ中の建設用3Dプリンタ「Polyuse One」[クリックで拡大]

土木や建築分野での実績をベースに量産開始

 Polyuseは2024年9月5日にPolyuse Oneを発表し、今回の展示会で初めて同機が動く様子を公開した(実際の出力は行っていない)。展示スペースは屋外で、取材時には日差しが強烈だったにもかかわらず、多くの人が足を運んでいた。

出力ユニットの部分。右上寄りの管にモルタルを供給するホースが接続され、下の管からモルタルが吐出される 画像2 出力ユニットの部分。右上寄りの管にモルタルを供給するホースが接続され、下の管からモルタルが吐出される[クリックで拡大]

 Polyuse Oneの最大の特長は持ち運びが容易なことで、展開時に幅、奥行き、高さが約4.0×3.6×2.7m、折りたたみ時は約4.3×1.2×1.3mとなる。制御装置を含めた重量は560kgである。少人数での運用を想定しており、展開/折りたたみは1人でも可能で、所要時間は共に5分とのことだ。アルミフレーム製の3軸が移動する門型のタイプで、キャスターで容易に移動できる。電源は三相200V、30Aまたは単相100V、15Aである。展示はされていなかったが他に材料供給装置も含まれる。

 最大造形サイズは3.0×2.5×1.9mで、造形スピードは出力物によって異なるが、幅40cm、長さ1.6mの階段を45分で出力した例もあるという。なお、プリンタの操作はスマートフォンで行っていた。将来的には制御盤にも操作画面を付ける予定とのことだ。

 販売想定価格は3300万円(税込み/送料込み)で、サポートや活用事例の共有などの支援を含む。申し込みは既に開始しており、2025年4月に製造を開始し、同年夏から順次顧客に納品するとしている。

 同社は以前から建設3Dプリンタの開発を進めており、試作版の「Polyuse Zero」を活用しながら各地の建設会社と協力して施工実績および各種の検証データを蓄積してきた。商用施設として使用されているサウナや建築確認を取得した倉庫などの建築物、ベンチやモニュメント、多数の土木構造物など100件以上の施工実績がある。これらの実績を踏まえて、今回、量産タイプのPolyuse Oneの販売を行うことになった。「Polyuse Zeroと比較して機械としての耐久性は上がっており、使用後の洗浄もかなり楽になっている」(大岡氏)。

土木構造物の出力サンプルとPolyuse 代表取締役の大岡航氏 画像3 土木構造物の出力サンプルとPolyuse 代表取締役の大岡航氏。左側のサンプルは山形県の災害復旧工事における重力式擁壁の残存型枠の縮尺モデル。3Dプリンタの活用で工期の50%短縮、交通誘導員および型枠職人の省人化に成功した。右は広島県で施工した水路側溝。折れ曲がり部分の特殊形状を出力し、工期短縮を実現した[クリックで拡大]
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