STマイクロエレクトロニクスが従来と比べて電力効率や電力密度、堅牢性を大幅に向上する第4世代SiC-MOSFETを発表。2025年第1四半期以降に提供を開始する予定で、その後2027年に向けてプレーナー構造をベースにした第5世代の開発や、高温動作時に極めて低いオン抵抗を実現する技術の導入などを進めていく方針である。
STマイクロエレクトロニクスは2024年9月27日、従来と比べて電力効率や電力密度、堅牢性を大幅に向上する第4世代SiC-MOSFETを発表した。EV(電気自動車)のトラクションインバーター向けを中心に車載機器や産業機器に向けて展開する。2025年第1四半期以降に提供を開始する予定で、その後2027年に向けてプレーナー構造をベースにした第5世代の開発や、高温動作時に極めて低いオン抵抗を実現する技術の導入などを進めていく方針である。
同社の第4世代SiC-MOSFETは、既に耐圧750V品の品質認定を完了しており、耐圧1200V品についても2025年第1四半期に品質認定を完了する予定だ。特に、耐圧1200V品については、EVのトラクションインバーター小型化や省電力化に貢献する800Vシステムに最適な製品になっている。また、第4世代SiC-MOSFETの平均ダイサイズは、25℃におけるオン抵抗で考慮した場合に第3世代品よりも12〜15%小型であるため、現行のEVに広く用いられている400Vシステムの小型化や省電力化にも役立つ。
また同社は、2027年までの今後3年間におけるSiC-MOSFETの技術ロードマップも明らかにした。開発中の第5世代SiC-MOSFETはプレーナー構造をベースにした革新的な高電力密度技術を採用する予定である。また、既存のSiC技術と比べてさらにオン抵抗を低減させ、特に高温動作時において極めて低いオン抵抗を実現する抜本的な技術革新に向けた開発も進めてるという。
STマイクロエレクトロニクスは、これまでに500万台以上の自動車にSiC-MOSFETを供給してきた。2026年にはイタリアのカターニャで、SiC(炭化シリコン)のインゴッド、8インチウエハー、前工程でのウエハーへのデバイス形成、後工程でのパッケージ/モジュール化までが行える完全統合型のSiCデバイス工場の生産を始める予定だ。
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