マウザーエレクトロニクスは、エレクトロニクス市場の動向と同社の戦略について説明した。新たに産業オートメーション領域などにも参入する。
半導体や電子部品のオンライン販売を行うMouser Electronics(マウザーエレクトロニクス)は2024年9月26日、エレクトロニクス市場の動向と同社の戦略について説明した。
マウザーエレクトロニクスは、世界中に半導体と電子部品を提供するディストリビューターで、1964年創業。2024年で創立60周年を迎える。本社は米国のテキサスで、ここに巨大倉庫を構え、世界中にデバイス製品を発表しているが、一方でローカライズも進めており、世界中28カ所に拠点を構え、23言語に対応している。テキサスのグローバル配送センターでは、100万点以上の電子部品を在庫として保有しており、2023年は520万件の注文に対して出荷をしたという。
マウザーエレクトロニクスの特徴が、製造業の設計エンジニアをメインターゲットとして位置付けており、小口で多品番を扱う注文を得意としている点だ。マウザーエレクトロニクス マーケティング担当 シニアバイスプレジデントのKevin Hess(ケビン・ヘス)氏は「マウザーエレクトロニクスは、エンジニアのためのテクニカルコンテンツをそろえることを重視しており、品ぞろえを広く持つ一方で数量は追っていない。広く浅く在庫を持ち、NPI(新製品導入)をどれだけ増やせるかということを重視している」と強みについて述べている。
マウザーエレクトロニクスの販売動向では、コロナ禍以降のサプライチェーンの混乱があった時期に急増しており、2022年がピークとなっている。一方で混乱が落ち着いた2023年、2024年(見込み)は減少傾向となっている。市場環境についてヘス氏は「市場の停滞状況は底を打ったと感じている。今後4〜6カ月後には反転すると見ており、2025年上期には回復する。マウザーエレクトロニクスとしても2025年全体では慎重に見ても、1ケタ台の成長率は確保できる見込みだ」と語る。
日本での販売状況も同様の傾向を示しているものの、日本オフィス設立以降、新規顧客数や取引数は大幅に成長しており現在はグローバルの中での売上高の4〜5%を占めるようになっているという。「日本市場はコロナ禍で最も成長した地域だ」(ヘス氏)。
市場環境の回復を見込み、マウザーエレクトロニクス本社の倉庫施設の拡張なども行っている。既存施設が約5万7000m2なのに対し、新倉庫施設を合わせて9万3903m2に拡張した。拡張に合わせ、垂直方向に在庫を蓄積できるバーティカルリフトモジュールや、自動ピッキング装置であるOPEXパーフェクトピックシステム、搬送と分類などを自動化するEuroSortなどのシステムを導入し、自動化と効率化を進めている。
さらに、ロボットやPLCなどの産業オートメーション領域への展開も新たに開始する。産業オートメーション機器や設備は大型のものも多いが「新施設の拡張などに合わせたスペースを有効活用する。ターゲットユーザーなども異なってくるため、まずは北米を中心に事業展開を行う。工場などが多いアジア地域については、まずは航空機輸送ができるような小型の機器から展開を開始する考えだ」とヘス氏は今後の展開について述べている。
産業オートメーション領域については現在は、全売上高の1%未満という状況だが、「これから在庫をそろえ、マーケティング投資などを進めていくことで、5〜7年の間に売上高3倍を目指す」とヘス氏は目標を語っている。
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