シャープは、技術展示イベント「SHARP Tech-Day'24」において、東京大学と東京工業大学、日本無線と共同で開発を進めているBeyond 5G IoT通信端末用SoCを披露した。最大の特徴はSDR(ソフトウェア無線)によるベースバンド処理回路をマイコンベースのSoCで実現している点にある。
シャープは、技術展示イベント「SHARP Tech-Day'24」(2024年9月17〜18日、東京国際フォーラム)において、東京大学と東京工業大学、日本無線と共同で開発を進めているBeyond 5G IoT(モノのインターネット)通信端末用SoCを披露した。最大の特徴はSDR(ソフトウェア無線)によるベースバンド処理回路をマイコンベースのSoCで実現している点にある。現在は、足元で策定が進んでいる6Gの規格に合わせたミリ波帯対応のRF回路の開発を進めており、日本国内で設計を完結したチップセットの提供を可能にすることを目指す。
Beyond 5G IoT通信端末用SoCの開発では、東京大学がBeyond 5Gに対応するSDRプラットフォームの構築、東京工業大学がミリ波帯省面積低消費電力フェーズドアレイIC、日本無線がDSPによるSDRのL1層制御ソフトウェア、シャープがミリ波帯ICやアンテナ、パッケージ一体設計技術、シャープ子会社のシャープセミコンダクターイノベーション(SSIC)がマイコンのCPUで処理するL2/L3層の制御ソフトウェアとSoC設計/機能統合を担当している。これらに加え、東京大学とSSICがセキュリティ機能の開発も行っている。
「ミリ波に対応したRF回路については、まずは5Gでも利用されている28GHz帯への対応をターゲットにしており、6GHz以下のサブ6にも対応する予定だ。60GHz帯やさらに高い周波数帯については、6Gでの規格策定に合わせて開発を進めることになる」(シャープの説明員)
シャープは、3Gの世代まで移動体通信技術を開発していたが、4G/LTEと5Gの世代については開発を行っていなかった。今回披露したBeyond 5G IoT通信端末用SoCは、2021年度から始まったNICT(情報通信研究機構)の委託研究の下で進められており、産学官共同の枠組みで再び移動体通信技術の開発に挑んでいる。
なお、SDRプラットフォームとすることで、オープンな開発環境により既存の5G端末では困難な通信機能のカスタマイズが可能になるという。SoCにはPCやFPGA、RFボードと接続して機能拡張できるインタフェースも搭載している。
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