新車生産が2年ぶり前年割れ、中国の苦戦や認証不正が響く自動車メーカー生産動向(4/4 ページ)

» 2024年08月28日 06時00分 公開
[MONOist]
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ダイハツ工業

 8社中、最も厳しい落ち込みを見せたのが認証不正問題で揺れたダイハツだ。2024年上期のグローバル生産は、前年同期比34.4%減の52万6957台と2年ぶりに前年実績を下回った。8社の順位もマツダと入れ替わり6位に後退した。

 国内生産は、2023年12月25日以降、OEM(相手先ブランドによる生産)供給モデルを含む全車種の生産と出荷を停止したため、前年同期比62.8%減の14万7598台と、3年連続で減少した。8社の国内生産として最も少ない台数となった。内訳は軽自動車が前年同期比60.4%減の11万4278台、登録車はさらに落ち込み同69.2%減の3万3320台だった。

 ダイハツでは、国交省による出荷停止指示の解除を受けて、2024年2月12日以降、順次稼働を再開している。国内最量販車種の「タント」は4月10日から、「トール/ルーミー(トヨタ)」も同月19日から生産を再開。7月17日には「ロッキー/ライズ(トヨタ)」のHEVを再開し、これにより全ての現行車種の生産を再開した。稼働再開の効果は6月の数字にも表れており、国内生産は前年同月比10.3%増の5万572台と、9カ月ぶりにプラスへ転じた。6月の国内生産の伸び率としては8社で最大だった。

 ただ、認証不正の影響は長引きそうだ。一連の不正問題を受けて、新規開発や認証業務を中断したことで、新型車の投入や一部改良の計画を変更せざるを得なくなっている。特に2024年11月から継続生産車にも適用される新たな法規への対応が間に合わず、生産を停止する公算が大きくなっている。

 好調が続いていた海外生産も伸び悩んでいる。2024年上期は、前年同期比6.7%減の37万9359台と4年ぶりに減少した。インドネシアが自動車ローンの金利上昇などにより市場が低迷し、同18.7%減と大きく台数を落としたことが主因だ。一方、マレーシアは新型「アジア」の投入などにより同13.1%増と2桁%増の伸びを見せ、上期として過去最高を更新した。

 6月単月の海外生産は前年同月比9.9%減の5万7341台と3カ月ぶりのマイナス。インドネシアが同12.7%減と低迷した他、マレーシアも同5.0%減と前年割れとなった。その結果、6月の世界生産合計は、同1.4%減の10万7913台と10カ月連続で減少した。

三菱自動車

 三菱自の2024年上期のグローバル生産台数は、前年同期比7.2%減の46万7755台と2年ぶりに前年実績を下回った。海外生産が低迷し、同13.8%減の22万8129台と3年連続の減少。8社の海外生産では最も落ち幅が大きかった。主力拠点のタイは同10.2%減、インドネシアは同26.0%減と東南アジアの市場低迷のあおりを受けた格好だ。さらに2023年10月に車両生産と販売から撤退を表明した中国事業の影響も加わり、アジアトータルでは同14.7%減となった。

 海外と比較すると国内生産は堅調で、前年同期比から111台多い23万9626台で、2年連続で増加した。「アウトランダー」「デリカD:5」「エクリプスクロス」の他、日産にOEM供給するEV「サクラ」などは低迷したものの、2023年5月に投入した軽自動車の新型車「デリカミニ」がヒット。ベースモデルである「eKシリーズ」との合計販売台数は、三菱自の2024年上期の国内販売の半数以上を占めるなど、国内生産に大きく貢献した。

 6月単月のグローバル生産は、前年同月比21.3%減の6万9232台と5カ月連続のマイナスだった。中でも海外生産は、同31.2%減の3万715台と大幅減で、5カ月連続のマイナス。8社の6月の海外生産でも最も落ち込み率が高い。タイは同37.5%減、インドネシアは同30.4%減で、アジアトータルでは同31.7%減だった。国内生産も伸び悩み、同11.0%減の3万8517台と3カ月ぶりに減少した。人気のデリカミニは依然として好調で、三菱自の7月の国内販売に占める割合は6割まで達した。輸出は同12.1%増と伸長した。

スバル

 スバルの2024年上期のグローバル生産は、前年同期比1.4%増の45万1610台と4年連続で前年実績を上回った。前年に比べて半導体不足が緩和したことや、旺盛な米国需要がプラス要因となった。唯一の海外拠点である米国生産は、半導体の供給改善や前年に「クロストレック」の生産立ち上げ準備を行ったこともあり、同17.4%増の19万7927台と大きな伸びを見せ、4年連続で増加した。

 ただ、国内生産については、前年同期比8.4%減の25万3683台と2年ぶりに前年割れとなった。これは2月13日に群馬製作所矢島工場(群馬県太田市)で男性社員が崩れた金型に挟まれて死亡する事故が発生し、群馬製作所3拠点全ての稼働を同月25日まで停止。加えて稼働再開後も生産ペースを落として操業していた。また、新型「フォレスター」生産立ち上げに伴う制約も減産要因となった。

 死亡事故の影響もようやく解消に向かいつつある。6月単月のグローバル生産台数は、前年同月比2.0%増の8万4497台と5カ月ぶりにプラスへ転じた。国内生産は同5.0%減の5万4335台と5カ月連続の減少。群馬製作所の操業スピードも戻りつつある。海外生産は引き続き好調で、同17.6%増の3万162台と3カ月連続のプラス。8社で最も高い伸び率だった。

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