新車生産が2年ぶり前年割れ、中国の苦戦や認証不正が響く自動車メーカー生産動向(2/4 ページ)

» 2024年08月28日 06時00分 公開
[MONOist]

トヨタ自動車

 メーカー別に見ると、トヨタの2024年上期のグローバル生産台数は前年同期比5.0%減の464万8863台と2年ぶりに減少した。中でも主力モデルを相次ぎ生産停止した国内生産の落ち込みが顕著で、同8.2%減の150万8416台と2年ぶりのマイナスとなった。

 まず、豊田自動織機のディーゼルエンジンの不正問題による影響で「アルファード」「ランドクルーザー」「ハイエース」などを1月末から3月初旬まで生産停止。さらに「プリウス」は後席ドアハンドルの不具合によるリコールで4月上旬から6月中旬まで稼働を停止した他、生産工程の確認のため「ノア/ヴォクシー」とアルファードも4月上旬から中旬まで停止した。

 また、6月には新たな認証不正問題が発覚し、6月6日から「ヤリスクロス」「カローラフィールダー/アクシオ」の生産を停止している。ただ、輸出は、北米などのHEV人気により前年同期比3.7%増と2年連続で増加し、国内生産に貢献した。

 海外生産も伸び悩んだ。2024年上期は前年同期比3.4%減の314万447台と4年ぶりに前年実績を下回った。前年に比べて半導体不足は緩和したものの、中国が市場のEVシフトによる販売競争の激化により同21.4%減と大幅減となり、2年連続の前年割れ。中国以外のアジアも、インドは堅調な需要や3直化により同29.2%増と伸長したが、主要市場のタイは経済低迷や自動車ローンの厳格化などで同15.9%減と低迷した他、インドネシアも同2.6%減と伸び悩んだ。その結果、中国を含むアジアトータルでは同11.4%減と2桁%減となった。

 一方、主力の北米は半導体の供給改善に加えて、堅調な需要とHEV人気に支えられ、前年同期比8.4%増と2年連続で増加。欧州も、半導体の供給改善や1月からトルコで新型車を生産開始したこともあり、同10.0%増とプラスを確保した。

 トヨタの減速感は、足元でより顕著に表れている。6月単月のグローバル生産は、前年同月比12.9%減の79万5862台と5カ月連続のマイナス。国内生産として8社で最大の落ち幅となった。このうち国内生産は、同18.8%減の25万4010台と2カ月ぶりの前年割れ。プリウスを16日まで稼働停止した他、認証不正によりヤリスクロスなど3車種の生産を6日から停止していることが響いた。ただ、認証不正で停止している3車種は、国土交通省で安全性の確認が終了したため、9月2日から生産再開する予定だ。

 海外生産も伸び悩み、前年同月比9.9%減の54万1852台と4カ月連続で前年実績を下回った。中国は競争激化による販売減少を受けて同21.7%減と大幅減となり、5カ月連続のマイナス。中国以外のアジアは、タイが同0.9%減、インドネシアが同1.6%増と横ばい。インドは同12.5%増と好調だったが、中国の落ち込みをカバーできず、アジアトータルでは同10.9%減と5カ月連続で減少した。

 主要市場の北米も、稼働日が前年より2日少なかったこともあり、前年同月比6.2%減と15カ月ぶりにマイナスへ転じた。欧州も稼働日が減ったため同6.6%減と2カ月連続で減少した。

ホンダ

 ホンダの2024年上期のグローバル生産は、前年同期比6.6%減の188万4958台と2年ぶりに前年実績を下回った。半導体の供給が改善し、HEV人気で受注も好調の北米は同8.7%増と2年連続でプラス。「シビック」や「CR-V」がけん引した。一方、中国は市場のEVシフトによる競争激化などにより、同32.7%減と3年連続のマイナス。中国の減産によりアジアトータルでも同23.6%減と3年連続で減少。その結果、海外生産トータルでは、同8.2%減の155万1751台と2年ぶりにマイナスへ転じた。

 国内生産は、前年同期比1.8%増の33万3207台と2年連続のプラス。半導体の供給改善で納期が短縮したことでプラスを確保した。国内市場では、国内最量販車種の「N-BOX」は年明けに発生した能登半島地震の影響で部品供給に支障をきたしたこともあり、2024年上期の国内販売では同10.3%減と落ち込んだものの、車名別ランキングでは唯一の10万台超えで首位を守った。登録車では「ヴェゼル」「ステップワゴン」「ZR-V」などが納期短縮の効果で大きく台数を伸ばした。

 ホンダも足元の状況は厳しい。6月単月の世界生産は、前年同月比21.8%減の29万954台と大きく落ち込み、2カ月連続のマイナス。8社で最大の落ち幅となった。

 特に厳しいのが海外生産で、前年同月比25.5%減の23万4917台と2カ月連続のマイナスだった。中国は厳しい販売競争により同55.3%減と半減し、2カ月連続で減少。中国で生産する4社で最も減少幅が大きかった。その結果、アジアトータルも同44.9%減と、2カ月連続で前年実績を下回った。長らく好調が続いていた北米も稼働日が前年より減ったこともあり、同5.0%減と減少し、18カ月ぶりにマイナスへ転じた。国内生産も、同0.9%減の5万6037台と3カ月ぶりに減少した。

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