オンセミが車載イメージセンサーにRCCBを採用、輝度向上に向け新たな提案組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

オンセミが東京都内で同社センサー製品/技術のプライベートイベントのメディア向け内覧会を開催。車載向けでトップシェアを握るイメージセンサー「Hyperlux」に加えて、さまざまなセンサー製品のデモンストレーションを披露した。

» 2024年08月28日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 オンセミ(onsemi)は2024年8月27日、東京都内で同社センサー製品/技術のプライベートイベント「Japan Annual Sensing Summit(JASS) 2024」のメディア向け内覧会を開催した。車載向けでトップシェアを握るイメージセンサー「Hyperlux」に加えて、さまざまなセンサー製品のデモンストレーションを披露した。

内覧会の登壇者 内覧会の登壇者。左から、オンセミ 日本セールス担当VP、日本法人代表取締役社長の林孝浩氏、同社 General Manager, Automotive Sensing DivisionのGeoff Ballew氏、同社 VP & GM, Industrial & Commercial Sensing DivisionのJohn Gerard氏。オンセミのセンサー事業は車載向けイメージセンサーが中心だが、近年はイメージセンサー以外や産業/民生機器向けの展開も注力している[クリックで拡大]

 同社は車載向けHyperluxにおいて画素サイズが2.1μmの製品を展開しており、830万画素の「AR0823AT」や「AR0820AT」、300万画素の「AR0341AT」などがある。スマートフォンやデジタルカメラなど民生機器向けのイメージセンサーの画素サイズは既に1μm以下になっているが、厳しい動作環境への対応や耐久性が求められる車載向けにおいて画素サイズ2.1μmの製品がハイエンドに位置付けられており、オンセミは業界に先駆けて市場展開を進めてきた。

 車載向けHyperluxで注目を集めたのは、AR0820ATのカラーフィルターアレイをRCCBに設定した製品のデモだ。一般的なCMOSイメージセンサーのカラーフィルターアレイは、ベイヤー配列として知られるRGGBが用いられているのに対し、RCCBはG(緑)の箇所をC(クリア、透明)に置き換えている。「高精細化が進む車載向けイメージセンサーでは、画素サイズが小さくなることで輝度が得にくくなっている。そこで、RGGBのGの箇所により透過率の高いCを用いることで高輝度が得られるようになる。今後、車載向けイメージセンサーで求められるようになる可能性が高い」(オンセミの説明員)。

 ただし、RCCBのカラーフィルターアレイには緑色がないためそのままでは色再現性に課題が出てくる。そこで、イメージセンサーと組み合わせて用いるISP(画像信号プロセッサ)によって色再現性を確保することになる。展示デモでは、RCCB版のAR0820ATと米国indie semiconducotorのISP「iND880」を組み合わせた画像と、RGGB版AR0820ATのオンセミ標準のソフトウェアベースISPで処理した画像を比較して見せた。

RCCB版「AR0820AT」のデモの様子 RCCB版「AR0820AT」のデモの様子[クリックで拡大]
左側の画面がRCCB、右側の画面がRGGBの画像 左側の画面がRCCB、右側の画面がRGGBの画像。色再現性はISPの性能もあってRCCBの方が高い[クリックで拡大]
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