岡山大学と両備システムズは、AIを用いた画像変換技術を使用し、胆道がんの内視鏡的範囲診断の精度向上に役立つ技術を開発した。「Cycle GAN」と呼ばれるAIを用いた画像変換技術を活用している。
岡山大学と両備システムズは2024年7月24日、胆道がんに対するPOCS(経口胆道鏡検査)において、AI(人工知能)を用いた画像変換技術を使用し、病変範囲を明確化し、胆道がんの内視鏡的範囲診断の精度向上に役立つ技術を開発したと発表した。AIによる胆道がんを対象とした診断支援技術は、同社によると国内初となる。
開発した技術は、「Cycle GAN(Cycle-Consistent Generative Adversarial Networks)」と呼ばれるAIを用いた画像変換技術を活用した。病変部位を明確化するために、白色光画像を疑似色素散布画像へと変換する。AIの学習には、消化管内視鏡で得られた白色光画像と実際の色素散布画像のデータセットを用いた。
胆道がん患者40人に対してPOCSを実施し、得られた白色光画像、狭帯域光画像、疑似色素散布画像の各画像について、内視鏡専門医3人が視認性を評価した。その結果、AIによる疑似色素散布画像は、白色光画像、狭帯域光画像と比べて表面構造と病変視界の視認性が有意に優れていた。
今回の結果から、開発した技術が病変の範囲診断に有用であることが示された。これを用いて適切な術式を決定することで、胆道がんの予後延長に寄与することが期待される。
胆道がんの5年相対生存率は30%未満で、膵がんに次いで不良だ。胆道がんは外科手術により根治が目指せる疾患だが、粘膜を表層進展する特徴を持ち、CTやMRIなどの画像検査では十分な評価が困難な場合がある。また、胆管内の直接観察が可能なPOCSで白色光観察や挟帯域光観察をしても、病変範囲の診断が容易ではなかった。
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