パナソニックは2030年度にナノイーデバイス累計2億台出荷へ、海外と車載を核に組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

パナソニックは、彦根工場で生産しているナノイーデバイスのグローバル累計出荷台数が1億台を突破したと発表した。今後はグローバル展開と車載向け事業のさらなる拡大により、2030年度に2億台のグローバル累計出荷台数を目指す。

» 2024年08月05日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 パナソニックは2024年8月2日、彦根工場(滋賀県彦根市)で会見を開き、同工場で生産しているナノイーデバイスのグローバル累計出荷台数が1億台を突破したと発表した。今後はグローバル展開と車載向け事業のさらなる拡大により、2030年度に2億台のグローバル累計出荷台数を目指す。

グローバル累計出荷台数1億台を記念して製作された大型サイズのナノイーデバイスの模型 グローバル累計出荷台数1億台を記念して製作された大型サイズのナノイーデバイスの模型[クリックで拡大]

 ナノイーは、水分に高電圧を加えることで生成される、OH(水酸化)ラジカルを高い濃度で含む5n〜20nmサイズの微粒子水である。この高濃度のOHラジカルが、カビ、花粉、ニオイ、PM2.5、アレル物質、菌/ウイルスといった有害物質を変性させるため、それらの活動を抑制する効果があるとされている。また、OHラジカルを含む微粒子水には美肌と美髪の効果もあるという。現パナソニックの前身の一つである松下電工が1997年に、水の「臭気成分を溶かす性質」に着目して住環境の空気浄化をテーマに研究開発に着手したことがきっかけとなり、2001年には広島大学 教授の奥山喜久夫氏(現同大学 名誉教授)の協力を得て本格的な技術開発をスタート。2003年のナノイーを発生させるナノイーデバイスの完成とともに、ナノイー放出機能を持つ空気清浄機やヘアドライヤーなどの製品展開が始まった。

ナノイーの構造 ナノイーの構造[クリックで拡大] 出所:パナソニック
ナノイーによる有害物質抑制のメカニズム ナノイーによる有害物質抑制のメカニズム[クリックで拡大] 出所:パナソニック
パナソニックの南波嘉行氏 パナソニックの南波嘉行氏

 パナソニック くらしアプライアンス社 ビューティ・パーソナルケア事業部 事業部長 南波嘉行氏は「ナノイーデバイスは、空気清浄機やヘアドライヤーだけでなく、エアコンや洗濯機、冷蔵庫などパナソニックの白物家電に幅広く搭載され住空間で役立っている他、自動車や電車といった移動空間、ホテルやエレベーターなどの公共空間でも利用されている」と語る。

 ナノイーデバイスの搭載は、パナソニック製品で44商品群、移動空間や公共空間向けを中心とする社外展開数で51社に上る。グローバル展開でも、欧州、中国、アセアンをはじめ全世界107の国と地域に拡大しているという。これら採用実績の積み重ねにより、2003年の完成から20年強で1億台のグローバル累計出荷台数を達成した。

ナノイー搭載製品の幅広い展開 ナノイー搭載製品の幅広い展開[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 1億台の内訳を見ると、用途別では白物家電が約50%、美容家電が約30%、車載が約15%、出荷先別では、国内向けが55%、海外向けが45%となっている。「家電への搭載は浸透が進んでいるので、今後は車載を中心に採用を広げたい。海外向けも伸ばす余地が大きいので、中国、アセアン、欧州で日本国内と同様にブランド周知を進めていく」(南波氏)という。特に車載向けは、今後の出荷台数の内訳で半分を占めるようにすることを目指す。、

ナノイーデバイスのグローバル累計出荷台数の推移と成長計画 ナノイーデバイスのグローバル累計出荷台数の推移と成長計画[クリックで拡大] 出所:パナソニック

 今後の目標として掲げたのが、2030年度にグローバル累計出荷台数で2億台を達成することである。現在、彦根工場におけるナノイーデバイスの生産規模は年間約1000万台だが、グローバル展開と車載向けの拡大を進めることにより年間約1500万台のレベルに引き上げたい考えだ。

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