グループ傘下のダイハツも、認証不正の影響が続いている。国内生産は、12月末の全工場稼働停止から段階的に生産再開を進めており、5月は前年同月比17.3%減の3万8564台と、4月の同69.0%減から大きく改善した。前年割れは8カ月連続だった。ただ、稼働再開の動きは月を追うごとに進んでいる。
5月はダイハツ九州の大分工場(大分県中津市)で生産する「タフト」と「ムーヴキャンバス」、本社工場(大阪府池田市)で生産する「コペン」を再開。本社工場の再開により、全ての工場で稼働を再開した。さらに2023年5月に側面衝突試験の認証手続きで不正が発覚して以降、生産を停止していた「ロッキー」およびOEM(相手先ブランドによる生産)車のトヨタ「ライズ」のハイブリッド車(HEV)も7月に生産を再開しており、これにより国内で生産する現行モデル全てが再開された。
海外生産は好調で、前年同月比4.8%増の7万2339台と、2カ月連続で前年実績を上回り、5月の海外生産として過去最高を更新した。インドネシアは同9.1%減と伸び悩んだものの、好調のマレーシアがカバーした。それでも国内生産の落ち込みにより、5月のグローバル生産は、同4.1%減の11万903台と9カ月連続で減少した。
ホンダの5月のグローバル生産台数は、前年同月比7.5%減の30万4423台と2カ月ぶりにマイナスとなった。落ち幅はダイハツを上回り8社の世界生産で最も大きかった。要因は海外生産で、同11.0%減の25万3298台と2カ月ぶりに減少した。北米は半導体の供給改善効果で同8.1%増と17カ月連続のプラスだったものの、中国がEV市場の拡大や価格競争の激化で同40.6%減と大きく減らし、2カ月ぶりの前年割れ。その結果、アジアトータルも同30.6%減と2カ月ぶりに減少した。
国内生産は、前年同月比14.9%増の5万1125台と2カ月連続で前年実績を上回った。国内販売では、最量販車種の「N-BOX」が6月の車名別販売ランキングで2カ月ぶりの首位となった他、半導体の供給改善効果で納期の短縮が進んでいる「ヴェゼル」(同89.6%増)や「ステップワゴン」(同89.7%増)、「ZR-V」(同145.2%増)が大幅に増加。さらにインドで生産して輸入する新型SUV「WR-V」の純増もあった。また、国内主力車種の「フリード」を8年ぶりにフルモデルチェンジして6月に発売しており、今後も伸びが期待される。
好調が続いているのがスズキだ。5月のグローバル生産は、前年同月比8.3%増の29万4386台と5カ月連続で増加し、ホンダに次ぐ3位につけた。好調の要因は世界生産の6割を占めるインドが同7.2%増と5カ月連続で増加したこと。インドは4月にマネサール工場で新ラインを稼働して生産能力を増強しており、5月の生産台数として過去最高を更新した。一方、パキスタンや、現地生産からの撤退を表明したタイなどインド以外の海外生産は低迷が続いており、同31.7%減と15カ月連続で減少した。それでも海外生産合計は同2.2%増の21万1229台と5カ月連続のプラスとなった。
国内生産も好調で、前年同月比27.5%増の8万3157台と4カ月連続の増加。半導体不足の改善が進んだ影響や新型車効果が表れた。6月の国内販売では、2023年11月にフルモデルチェンジした最量販車種の「スペーシア」の同37.4%増をはじめ、12月に新型を投入した「スイフト」や、主力モデルの「ソリオ」「ハスラー」「ワゴンR」などが軒並み好調に推移している。輸出も同27.6%増と2カ月連続のプラスだった。
スズキに次ぐ4位となった日産の5月のグローバル生産は、前年同月比0.1%増の27万4962台と2カ月連続のプラス。このうち海外生産は同2.1%増の22万5789台と2カ月連続で前年実績を上回った。米国は同8.9%減と2カ月ぶりのマイナス。主力の「アルティマ」が減少した。一方メキシコは同7.5%増と2カ月連続で増加。「ヴァーサ」の台数増が貢献した。さらに中国が同18.0%増と伸長し、2カ月連続のプラスだった。英国も同2.9%増と2カ月連続で増加した。
一方、長らく好調が続いていた国内生産はブレーキがかかっている。前年同月比7.9%減の4万9173台と3カ月連続のマイナス。6月の国内販売を見ても「セレナ」が同18.3%減、「ノート」が同3.5%減、「エクストレイル」が同26.7%減と、主力モデルが低迷した。輸出は同11.4%増と3カ月ぶりに増加した。
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