図1は産業別に見た労働者数の変化です。製造業(青)が1992年に1170万人だったのが2023年には800万人を割り込んでおり、大きく減少している様子が分かります。約30年で400万人近くが減少していることになります。
よく見ると、建設業も1998年のピーク以降、現在までに160万人が減少したようです。一方で、「卸売業、小売業」(赤)、「宿泊業、飲食サービス業」(薄ピンク)、「医療、福祉」(緑)、「教育、学習支援業」(薄緑)の労働者は右肩上がりで増加していることが確認できます。
2000年代初頭には「卸売業、小売業」が、2021年には「医療、福祉」が製造業の労働者数を上回ります。2000年からの変化で見ると、「卸売業、小売業」で80万人、「宿泊、飲食サービス業」で190万人(2010年からの変化)、「医療、福祉」で450万人、「教育、学習支援業」で90万人増加しています。特に「医療、福祉」の増加数は大きく、製造業の減少量以上に増えています。
製造業や建設業などモノを作る産業から、サービス業や公共/福祉的な産業へと労働者が移動している様子がこの統計データでも確認できますね。
続いて、どのような産業でパートタイム労働者が増えているのかに着目してみましょう。毎月勤労統計調査は、産業ごと、企業規模ごとに詳細なデータが集計されているので、大変参考になります。
図2が、産業別に見たパートタイム労働者数の推移です。意外にも労働者規模の大きな製造業では130万人から110万人と、それほどパートタイム労働者が多いわけではないようです。
一方で、「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉」「教育、学習支援業」など、図1で確認した労働者数が増えている産業では、パートタイム労働者数が大きく増加していることになります。
2000年から増えたパートタイム労働者数は、「卸売業、小売業」で140万人、「宿泊。飲食サービス業」で170万人、「医療、福祉」で210万人、「教育、学習支援業」で60万人です。
いずれも労働者全体の増加数とかなり近い水準でパートタイム労働者が増えていることになりますね。特に、「卸売業、小売業」では全体の労働者の増加以上にパートタイム労働者が増加しています。これは、その差分(約50万人)だけ一般労働者が減少していることも意味します。
このように、日本では産業間での労働者の移動が進んでいるわけですが、労働者数の増えている産業の多くはパートタイム労働者ということになります。
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