スズキがティアフォーと資本業務提携、新たな自動運転サービスを創出自動運転技術

ティアフォーとスズキは地域のモビリティを支える自動運転技術の研究開発や社会実装で資本業務提携に合意した。

» 2024年06月17日 16時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 ティアフォーとスズキは2024年6月17日、地域のモビリティを支える自動運転技術の研究開発や社会実装で資本業務提携に合意したと発表した。ティアフォーの拡張性の高いソフトウェアプラットフォームと、スズキの「小・少・軽・短・美」を徹底した製造のノウハウを掛け合わせ、新たな自動運転サービスの創出を目指す。

 スズキは生活に密着したインフラ企業を目指しており、路線バスの廃止などで交通空白地となった地域の住民向けに移動手段となる自動運転サービスを開発する。浜松市では、自動運転技術を活用したスマートモビリティサービスの事業化に取り組んでいる。

 ティアフォーは、「自動運転の民主化」に向けて、自動運転車向けのオープンソースソフトウェア「Autoware」を活用したソフトウェアプラットフォームと、市場の需要に対応したさまざまなソリューションを展開している。

シリーズB追加ラウンドで85億円の資金調達

 ティアフォーは2024年6月17日、スズキとの資本業務提携とは別途、シリーズB追加ラウンドで85億円の資金調達を実施したと発表した。シリーズB全体の資金調達額は207億円に上る。創業以来の累計資金調達額は381億円となった。

 事業が軌道に乗り始めた段階の投資フェーズに当たるシリーズBでは、ソフトウェア開発の規模拡大や自動運転システムのレファレンスデザインの構築に注力してきた。また、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」にも採択され、総額254億円規模の研究開発プロジェクト「Microautonomy〜集合的にスケーラブルな自動運転システムの創出」を推進している。

 今回の増資は、ソフトウェアとレファレンスデザインを統合したレベル4の自動運転の車両開発体制の強化、その安全性評価のためのプロセスやツールの充実を主な目的としている。車両開発についてはNEDOの「ディープテック・スタートアップ支援事業」に採択されており、2023〜2025年度に自動運転システムの品質や耐久性、個体差などに関する課題を解決する。また、さまざまな車両モデルに適用可能な電動化モジュールの提供を目指す。

 安全性評価については、国土交通省による「中小企業イノベーション創出推進事業」のSBIRフェーズ3基金事業に採択された。2024〜2027年度にレベル4の自動運転の基準に対して認証可能な開発運用フレームワークを開発し、地域公共交通で自動運転システムを搭載した車両を容易に導入できるようにするためのサービスパッケージの提供を目指す。

 具体的な事業としては、路線バスや市街地のタクシーを含む自動運転による移動サービス、工場内搬送やトラックでの高速道路の輸送を含む自動運転による物流サービスに注力していく。いずれもレベル4の自動運転システムでのサービス提供を目指す。

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