上司の特徴によって上司管理過剰感が異なるかも確認した。その結果、「1.なぜこんな指摘や指導をするのかと思うことがある」という懐疑心や、「2.細かく報告、連絡、相談を求める」というマイクロマネジメントの要素があると、上司管理過剰感が高くなった。
「4.自律的に働けるよう任せてくれる」「5.考えや意見を尊重してくれる」といった、自律や尊重の態度がある場合は、上司管理過剰感が低かった。
また、「8.担当する仕事について、社会や自組織にとっての意義や意味を言葉にしている」「9.仕事の成果やあなた自身の成長のために支援してくれる」という認識のもとでは上司管理過剰感が低いことから、上司の管理行動の意図を理解できたり、理不尽さを感じないようなコミュニケーションが取れていたりすると、上司管理過剰感が低くなる可能性が考えられる。
会社の特徴の「2.一度作ったルールや制度はなかなか撤廃、改善されない(ルール形骸化)」と「11.現場判断ができるよう、社内外の情報が開示されている(情報開示)」の2項目を見ると、ルールが形骸化していない場合(AとB)、情報開示されていない低群と情報開示されている高群では、高群の方が会社管理過剰感が低かった。
一方、ルールが形骸化している場合(CとD)では、情報開示がされていない低群と、情報開示されている高群のどちらも、会社管理過剰感が高くなっている。これらから、ルールが形骸化していると、情報開示されていても会社管理過剰感は高くなると考えられる。
次に、上司の特徴の3項目「2.細かく報告、連絡、相談を求める(報連相要求)」「3.放任であり、適切な業務上の支援がない(放任で業務支援なし)」「6.上司には、気軽に支援を求めたり相談したりできる(支援要請可能)」について、上司管理過剰感を調べた。
報連相を細かく求められている状態(CとD)の上司管理過剰感は、放任で業務支援がない場合は高く、上司に支援要請できる場合は低かった。
報連相を細かく求められていない状態(AとB)では、放任の程度にかかわらず上司管理過剰感が低かった。また、支援要請が可能な高群は上司管理過剰感が低くなっている。
最後に、管理過剰感が個人の状態に及ぼす影響を見ると、会社と上司共に管理過剰感が高い群は低群に比べて「適応感」が低く、「疲弊感」が高かった。管理過剰感が低い群は「自律的、主体的に仕事をしている」傾向が見られ、高群ほど「現在勤めている会社には、あまり長く勤めていたくない」の回答が多かった。
これらの結果は、会社や上司からの管理過剰感が、適応感や主体性の低下、疲弊感や離職意向の上昇に影響する可能性を示している。
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