“設計標準化”というと、“標準部品化”や“標準組立図面化”、さらには“ライブラリ化”といったモデルそのものの標準化を行いたくなります。この標準化は2D設計のころ、手描き図面から引き継がれるような方法として行われました。例えば、“2D図面をパラメータ化する”といった標準化のアプローチです。
図3のようにL寸法、A寸法、B寸法などを記載することで標準部品を管理するというもので、出図の際は不要な製番の欄は赤色鉛筆で消し、必要な製番に個数を記入するというやり方をしていました。これは定型的な設計で用いられる方法で、手描き図面の時代に「いちいち図面を描かなくて済む」ように考えられたものですが、2D CADを使うようになってからもそのまま用いられてきました。つまり、手描き図面から2D CADへの移行は、「鉛筆からPC描画への移行」として、標準部品の運用が行われていたわけです。
同様の管理方法は、寸法編集だけで大きさを変化させるような定型的な製品の2D組立図でも行われ、その中の部品要素は、上記の例のような2D部品図や寸法の変化もなく流用されるような部品図などの構成により管理されていました。流用率の高いものほど、このような運用が行われていました。
今でいうパラメトリックな設計、モジュラーデザインにもつながるものといえますが、その自由度や求められている精度は高いわけではなく、あくまでも汎用(はんよう)的な設計だったと筆者は考えます。では、これが3D CADに代わるとどのように変化していったのでしょうか。以下に、3D CAD化による主な変化を示しました。
もちろん、3D CAD化の目的はこれだけではありませんが、設計工程ではこれらの大きな効果を実感することになります。ただ、その一方で、2D図面の時代に、三面図を頭の中で立体化しながら描いていた1本の線と、効率的に立体形状を可視化しながら描くことができる3Dモデルとでは、その重みが違うように思います。
業種業態によって、さまざまな製品設計があります。筆者も長年にわたって装置設計を行ってきましたが、スワニーに転職した今では成形金型を設計することもあります。同じ設計でも設計の方法は異なりますが、どちらも重要なのは基準の考え方です。
成形金型に関してはまだ指導を受けながら設計していますが、この基準という考え方に違いはありません。図4に初心者が留意すべき、設計基準と重要管理項目について、筆者が今実感している項目を挙げてみました。
装置設計の設計作業標準では、「最初にワークを描く」ということが規定されていました。この基準になるものが誤っていれば、いずれの分野の設計でも精度の高い設計はできません。まずはここが設計の起点になっているのですが、この後の手順(設計の流れ)というものが、熟練エンジニアの経験に基づいてたノウハウになっていることも多く、「誰もが同じように設計できる」ことが求められます。
次回も設計標準のための設計の考え方、設計の進め方についてお話を続けます。 (次回へ続く)
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