標準電池パックの“標準”については、車両と電池の所有を分ける「車電分離」というコンセプトも関わってくる。電動車のユーザー企業は車両のバッテリー以外の部分を所有し、バッテリーは所有せずには使った分だけ使用料を支払う。バッテリーは自動車メーカー側が所有し、使用済みになったときに確実に次の用途に回せるようにする。リユースでは残存性能に合わせて価格を設定するなど、車載用として使用済みになったあとも収益を得られるようにする。
ただ、車載用バッテリーは定置用蓄電池としての安全規格を満たさなければリユースできない。車載用は衝突や衝撃などに対する安全性の要求が厳しいが、定置用は建物に隣接して設置するため出火や延焼への対策が重視される。そこで、標準電池パックは定置用蓄電池の安全規格にも対応して開発する。
定置用としての安全性を織り込んで車載用のバッテリーを設計、開発することはコスト増にもつながる。これに関しては、電池の残存性能を使い切るまでのリユースも含めた長い期間でコストを回収することを目指している。車載用としては使われた分の使用料を得て、定置用でリユースする際には残存性能に応じて価格を割り引くなどしながら収益を得る。
実現に向けては、車両に搭載されて市場に出たあとの電池の全数を管理する仕組みの構築や販売店との役割分担、アフターサービスの提供などが課題になるとしている。
標準電池パックは、充電の代わりに専用のステーションで交換する方式での利用は想定していない。社会全体でバッテリーを使い切り、製造するバッテリーの総量を減らすコンセプトと合致しないためだ。交換されるまでステーションでバッテリーが待機している状態も、“もったいない”と見なしている。市場の動向に応じて交換式バッテリーを検討する可能性はあるという。
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