オープンデータの整備は、整備が進まないと活用事例が広がらないが、活用事例が拡がらないとデータ整備も進まない、といった「鶏卵問題(卵が先か、鶏が先か)」に直面することが多い。Project PLATEAUはこの問題を回避するために、3D都市モデルの整備にとどまらず国交省が主導して各プレイヤーに働きかけてユースケース(活用事例)を開発していることも大きな特徴だ。データを標準化、オープン化したとしても、使われなければ価値はない。さまざまなプレイヤーによって活用されて初めて価値が出る。その点で、主導プロジェクトを国交省が自ら作り上げてロールモデルを作っているのだ。
それによって他自治体や企業の取り組みの背中を押す循環を創る。現在は国交省主導でのユースケースをもとに、各自治体が積極的に事例を創出する段階へとフェーズが進んでいる。国交省は3D都市モデルは行政が整備すべき「インフラ」と捉えている。今後は道路や土木構造物の整備と同じように自治体の3D都市モデルの整備を支援し、自治体における活用事例の拡大を促す。
現状のユースケースを大別すると、下記のカテゴリーが存在する。その一部であるが、事例を幾つか紹介したい。
3D都市モデルやBIMモデル、空間IDを統合した都市開発支援ツール「PLATEAU TwinLink」を開発した。細分化しがちな3D都市モデルやBIMモデル、空間IDを統合するデジタルツイン基盤システムとなっている。多様な地理空間情報の複合的な解析が必要な都市計画や都市開発、建築設計におけるプランニングやシティプロモーションの効率化/価値向上を実現する。
GPSログに加え、大丸有エリアの各ビルに設置されたビーコンとの接触ログを活用することで、地下流入と地上流入の識別や、階層別の混雑度の評価を実現した。それにより最適な都市づくりを計画している。
PLATEAUはデジタル技術を活用した市民参加型のまちづくりなど、インタラクティブな都市計画にも活かされている。3D都市モデルとXR技術を組み合わせた、まちづくりワークショップを運営するシステムを開発している。複雑な都市開発を直感的に理解可能にし、まちづくりへの市民参加を促進。関係者間の議論の活性化を実現した。
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