MathWorksは、トヨタ自動車がモデルべース開発環境「MATLAB/Simulink」の包括契約を行ったことを発表した。これまでは、部署ごとなどの個別契約で利用していたが、モデルベース開発が可能な人材の育成などでより柔軟にMATLAB/Simulinkの活用が必要になっていることに対応するため、包括契約への変更に踏み切った。
MathWorksは2024年5月7日、トヨタ自動車がモデルべース開発環境「MATLAB/Simulink」の包括契約を行ったことを発表した。これまでは、部署ごとなどの個別契約で利用していたが、モデルベース開発が可能な人材の育成などでより柔軟にMATLAB/Simulinkの活用が必要になっていることに対応するため、包括契約への変更に踏み切った。
MBD(モデルベース開発、モデルベース設計)は、エンジニアが複雑なシステムを提供する方法を改善するために、開発プロセス全体を通じてモデルを体系的に活用する手法である。自動車業界では、走行系の制御システムを中心にMBDが採用されてきたが、ソフトウェアの役割がより高まるSDV(ソフトウェア定義自動車)を開発するためには、より広い範囲でMBDを活用する必要がある。また、市場環境の変化への迅速な対応や、顧客へのサービス提供スピードの加速、開発能力への効率的な投資と改善を達成する上でMBDは重要な役割を果たすといわれている。
トヨタ自動車 IT変革担当CPL兼IT開発推進部 部長の岡村達也氏は「社内で広く活用されているMATLAB/Simulinkをより効率的に使いこなしていくには、これまでの個別最適な契約形態では世の中の急速かつ多様な変化、不足するモデル設計の人材育成に、タイムリーに対応することが困難な局面に突入していくと考えていた。必要な機能の充実はもちろんのこと、多彩なオプションを必要な時に必要なだけ活用でき、教育できる環境整備は今後ますます必須と考えられる。全体最適な契約形態への変更は、ビジネスサイドへのメリットは大きいが、コスト面や運用面で多くの課題を抱えており、IT管理面では乗り越えなければいけないチャレンジだった。それを解決するために、MathWorksの協力により1つ1つ課題を議論しクリアする活動をしてきた。魅力ある自動車を市場へ投入しつづけることへの架け橋になると期待している」と述べている。
なお、トヨタ自動車は1993年にMATLAB/Simulinkの活用をスタートした。使用するMATLAB/Simulinkのバージョンアップについて近年は、2011年6月、2015年10月、2021年10月に発表を行っている。2021年10月の発表では、「R2015a」から「R2021a」への移行を表明していた。
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