日本製紙など4社は共同で、木材チップ専用船の船倉内で木材チップをかき出すロボットの遠隔操作を試行した。荷役現場から離れた場所でリモコンにより遠隔操作し、3mの高さまで壁に付着したチップを剥がし取る。
日本製紙は2024年4月12日、日本郵船、知能技術および岩国産業運輸と共同で、木材チップ専用船の船倉内において、木材チップをかき出すロボットの遠隔操作を試行したと発表した。同月5日に山口県にある同社の岩国工場において、試作機を2時間にわたって遠隔で操作し、機能性や安全性を確かめた。
専用船で輸送された木材チップは、船倉内でショベルカーを使って集積し、陸揚げされる。重機が届かない隅にたまった木材チップは、船倉壁を傷つけないよう、人力によるかき出し作業が必要だ。しかし、過酷な温度域になりやすく、10mの高低差がある場所での移動、木材チップの酸素吸収による酸欠など、船倉内での作業は危険を伴う環境にあり、将来的な働き手不足が懸念されていた。
そのため4社は共同で、かき出し作業の遠隔化技術を開発。油圧ショベルカーのアームと、取り付けられたスクレーパー(へら)、ブラシをリモコンで遠隔操作し、3mの高さまで壁に付着したチップを剥がし取る。船倉内の隙間など、狭い空間に挟まった木材チップも掻き出すことが可能だ。
荷役現場から離れた場所でロボットを操作することで、性別や年齢、障害の有無を問わず従事でき、人員不足問題の解決が期待される。同技術により荷役現場の環境改善や安全性の向上を図り、2024年度中の初号機完成と実用化を目指す。
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