世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ 2024」が開幕する。会期は2024年4月22〜26日までの5日間。AIや水素および、インテリジェントかつカーボンニュートラルな生産、エネルギーソリューションを中心とした最新技術が一堂に会する。
2024年4月22日(ドイツ時間)、世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ(HANNOVER MESSE) 2024」(ドイツ・ハノーバー)が開幕する。会期は同月26日までの5日間で、60カ国から集まった4000以上の企業/団体が出展。AI(人工知能)や水素および、インテリジェントかつカーボンニュートラルな生産、エネルギーソリューションを中心とした最新技術が一堂に会する。
今回のハノーバーメッセのメインテーマは、「Energizing a Sustainable Industry(持続可能な産業の活性化)」だ。ドイツメッセCEO(最高経営責任者)のJochen Kockler(ヨッヘン・コックラー)氏は、「来場者はオートメーション、AI、最先端の駆動技術、再生可能エネルギー、水素をいかに有意義に活用するかという課題に対する答えを求めている。ハノーバーメッセの出展企業は、まさにこれらの専門知識を提供する」と説明。会場では、機械工学、電気工学、デジタル産業、エネルギー分野の出展者らが、生産プロセスのデジタル化および自動化、産業へのAI導入、水素による工場への電力供給、CO2排出量の記録および削減を実現するソフトウェアなどに関する最新技術/ソリューションを紹介する。
今回のハノーバーメッセで特に注目されているのが、AIと水素技術だ。ChatGPTの登場を契機に生成AIをはじめとしたAI技術が急速に発展し、産業界での導入も加速している。ChatGPTの登場から数カ月後の開催となった前回のハノーバーメッセでも既に生成AIを活用したソリューションを提示する企業が大きな話題となっていたが、今回は音声によって操作可能なロボットや自動的に欠陥を認識する機械など、より多くの企業がブースで具体的なアプリケーションを提示するという。
また、脱炭素社会に向けた水素技術については、前年に引き続き500以上の企業/団体が出展。「ハノーバーメッセは、産業界における、即時利用可能な水素ソリューションの最も重要なプラットフォームであり、世界的な水素経済の国際的立ち上げのためのプラットフォームでもある」としている。今回のパートナー国に選ばれたノルウェーも、「Pioneering the Green Industrial Transition(グリーン産業転換の先駆者)」をモットーに掲げ、再生可能エネルギー、カーボンニュートラル生産、炭素回収、産業のデジタル化の分野におけるソリューション開発を推進している国家だ。
オープニングセレモニーでは、ハノーバーメッセ出展企業の応募者の中から優れた技術を表彰する技術賞「HERMES AWARD」および、優れたスタートアップの技術を表彰する「HERMES Startup AWARD」も発表された。HERMES AWARDを受賞したのは、AIソフトウェアがインストールされた産業用PCやカメラシステム、グリッパーで構成し、プログラミングや画像処理に関する事前知識不要でバラ積み部品のピックキングを可能にする、Schunkの自動化アプリケーションキット「2D Grasping Kit」。HERMES Startup AWARDを受賞したのは、ドイツのスタートアップArchigasによる、水素含有量を高速、高精度、高信頼性で測定するためのコンパクトな耐湿性センサーだ。ここでもそれぞれAI、水素関連のソリューションが選出されており、今回のハノーバーメッセにおける重要テーマであることが分かる。
2024年4月21日に開催されたオープニングセレモニーではドイツのOlaf Scholz(オラフ・ショルツ)首相が登壇。パートナー国のノルウェーとの水素供給やCCSにおける協力に触れつつ、エネルギー転換のためのソリューションの重要性に言及した他、「スマートなAIを駆使したテクノロジーによって単純作業を代替することで、従業員がより高度なスキルの仕事に切り替えることができる」など、AIによる生産性および成長促進への期待を示していた。
今回のハノーバーメッセでは、ドイツのほか中国、トルコ、米国、イタリアなどから多くの企業/団体が出展。Amazon Web Services、Microsoft、Google、SAP、Siemens、Bosch、Schneider Electricなどの世界的なハイテク企業の他、Beckhoff Automation、Festo、Rittal、Harting、Phoenix Contact、SEW-Eurodriveといった中規模のテクノロジー企業も名を連ねている。また、フラウンホーファーやKIT(カールスルーエ工科大学)などの研究機関や300以上のベンチャー企業も参加しさまざまな最新技術を展示する。
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