コロナ禍で製造業のマーケティング手法もデジタルシフトが加速した。だが、業界の事情に合わせたデジタルマーケティングを実践できている企業はそう多くない。本連載では「製造業のための正しいデジタルマーケティング知識」を伝えていく。第13回のテーマは「社内の承認を得るために使える2つの強力な武器」だ。
中小製造業においてWebマーケティングを実施しようとしても、社内の承認が得られなかったり、思うように推進できなかったりするケースはまだ多い。今回はそのような壁に直面している担当者のために、Webマーケティングの遂行を阻害する主な要因と、それを打破するための手法を紹介する。
Webマーケティングについて社内で議論する際の大前提として、誤解を招く恐れのある用語はできる限り使わないことが重要である。「マーケティング」という言葉や概念は、中小製造業の経営者や社員にとってなじみがない場合も多い。そのため、まずは「営業活動をどう実施すべきか?」という課題を設定し、議論を深めることをお勧めする。その上で、障壁となる主な要因を挙げる。
中小企業の経営者層がWebマーケティングに関する知識を持たず、その有用性への理解がない場合、取り組みに対して消極的になる傾向が見られる。この経営層の理解不足はWebマーケティングの重要性や有効性を見落とす要因となり、担当者が社内で必要な支持を得ることが困難となる。
「うちの業界は特殊だから」という理由で可能性にふたをしてしまう会社も多く存在する。「足を使った営業活動でなければ意味がない」「良いものを作っていれば仕事は来る」という考えで凝り固まってしまい、新しい営業手法の重要性に気付いていないケースがある。
これまで積極的な営業活動を行ってこなかった企業では、成果が保証されない取り組みへの投資に消極的な場合がある。仕事が舞い込んできていたため、広告や営業に費用をかけるという概念がないからだ。
中小製造業の場合、専属のWebマーケティング担当を配置することが難しいため、片手間の仕事になりがちだ。本業が忙しい場合、Webマーケティングはどうしても後回しになる。
展示会や商談会などの対面式のものであれば理解を得やすいが、Webは相手が目に見えないため、費用対効果が不明瞭だと思われやすい。そうなると予算の割り当てや継続的な投資の正当化が難しくなる。
これはWebマーケティングをすでに実施している会社で起こり得ることだが、Webマーケティングの成果が上がっているにもかかわらず、担当者が正当な評価を得られずに意欲が薄れ、失速してしまうケースがある。
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