米国ラスベガスで開催された「CES 2024」では、スペースが大幅な増床となったスマートホーム関連の展示が注目を集めた。本稿では、国内スマートホーム関連スタートアップの雄であるアクセルラボ CTOの青木継孝氏による、スマートホーム関連の展示を中心としたCES 2024のレポートをお送りする。
筆者は、2024年1月9〜12日の4日間、米国ラスベガスで開催された世界最大の電子機器見本市「CES 2024」に参加してきた。CESは電子機器にとどまらずさまざまな新製品が発表される機会となっており、世界各国のテクノロジー関連企業が注力しているイベントである。今回は、スマートホームサービスを開発、提供するアクセルラボのCTOの視点から、スマートホーム関連の企業や技術を中心に、各国の展示や業界のトレンド、今後注目すべき企業などを紹介する。
CES 2024の全体テーマは「ALL ON」で、主要テーマは「AI」「モビリティ」「持続可能性」「万人のための安全保障」の4つだった。ここ数年のCESは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、出展社数が減少していた。「CES 2020」では出展社数が4400社以上だったが、コロナ禍に入ってからは各社が出展を見送るケースも多かった。オフラインイベント復活の兆しが見えた前回の「CES 2023」は出展社数が約3200社。公式発表によると、今回のCES 2024では出展社数が4300社以上となり、おおむねコロナ禍以前の水準に戻りつつあるようだ。
さらに、前回と比べて展示会場の総床面積は15%増加している。AR(拡張現実)/VR(仮想現実)、モビリティ、スマートホーム、ゲーミング、ロボティクスなど、多岐にわたるカテゴリーで出展社数が増えたようだ。
筆者自身のCESへの参加は今回で3回目となるが、コロナ禍以降では初ということもあり、どれほど活気付いているのかを楽しみにしていた。
CES 2024の展示会場は3箇所に分かれており、それぞれの会場の規模も大きい。3会場が展開するエリアの広さは新宿〜渋谷間と同程度で、会場間を移動するのにもかなりの時間がかかる。このため会場間移動は、徒歩ではなく無料のシャトルバスやUBER、タクシーなどが必要となる。
まずは、CES 2024の総合的な所感から述べていきたい。正直なところ、革新的な技術や製品は多くなかったものの、各領域のテクノロジーが着実に進化していることが感じられた。AI(人工知能)やモビリティ、AR/VR、ドローン、音声認識などの各テクノロジーが社会に浸透しつつ着実に進化している印象だった。
CES 2024で特に大きな存在感を示していたのは韓国企業だろう。サムスン(Samsung)、LGの他、SKグループなどが大きなブースを展開し、大盛況であった。スポーツ用ドローンなど、至る所で韓国企業が存在感を示していた。
また、サムスンとLGがそれぞれ展示していた「透けるディスプレイ」は多くの人々の注目を集めていた。以下に示す写真の右上にもあるように、サッカーの試合画面に被せるようにデータを映し出すことが可能だという。街の映像に花火を被せて表示するなど、新しい映像表現の可能性を示すデモンストレーションも行われていた。
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