「CES 2024」に見る、スマートホームの最新事情と未来予測CES 2024レポート(3/4 ページ)

» 2024年02月27日 08時00分 公開

今後のスマートホームの鍵を握る? 「CES 2024」の注目企業

 ここからは、CES 2024に出展していたスマートホーム関連の注目すべき企業を3社紹介しよう。

注目企業(1)「SmartThings」で独走するサムスン

 1社目はサムスンだ。

 サムスンは自社製家電を「SmartThings」に連携する方向性を示している。このSmartThingsとは、サムスンが提供するスマートホーム向けの統合プラットフォームであり、メーカーを問わずさまざまなIoTデバイスが連携されている。サムスンはSmartThingsを介して多様なIoTデバイスと、テレビ、冷蔵庫、洗濯機など、自社製スマート家電を連携し、1つのアプリで制御することを可能としている。

「CSE 2024」におけるサムスンの展示 「CSE 2024」におけるサムスンの展示。スマートホーム向け統合プラットフォーム「SmartThings」が中核を担っている[クリックで拡大]
「SmartThings」に接続されている多様なメーカーのさまざまなデバイスも展示 「SmartThings」に接続されている多様なメーカーのさまざまなデバイスも展示[クリックで拡大]

 サムスンがSmartThingsを推進する目的は、おそらくヘルスケア、ペットケアなど住宅領域以外のサービスとの連携を拡大するためではないかと考えられる。SmartThingsで家電やIoTデバイスを一元管理しつつ、家中と家外をつなぐサービスを展開したいのではないだろうか。

「SmartThings」は単なるホームコントロールではなく、さまざまなソリューションを提供する 「SmartThings」は単なるホームコントロールではなく、さまざまなソリューションを提供する[クリックで拡大]

 サムスンはグループ企業が多いため、ペットケア、ヘルスケア、スマートキッチンなどのサービスを全て自前で手掛けていくだろう。同じ業態のLGや中国のハイセンス(Hi-Sense)などと比較しても、スマートホーム領域では大幅にリードしていると感じた。

注目企業(2)設置やアフターケアの重要性を強調したOliver IQ

 2社目は、Oliver IQという米国のベンチャー企業だ。デバイスやアプリの提供から、設置、サポートまでワンストップで提供するスマートホームプラットフォーマーである。

 同社が開催していたセミナーでは、スマートホームはデバイスやサービスの選定が難しくDIYも困難なため、以下の写真の右側にも示されている“Truck Roll Support(実際にトラックで駆け付けて現地でサポート)”やオンラインサポートの充実が非常に重要であることを説明していた。デバイスやアプリ、ソリューションのみを提供している企業が多い中、設置やサポートの重要性を訴求しているという点が特徴的だった。

「CES 2024」におけるOliver IQの展示 「CES 2024」におけるOliver IQの展示[クリックで拡大]

 Oliver IQの担当者は「スマートホームのセットアップは非常に複雑で、個人で全てを行うのは無理がある」と話していたが、この考え方には共感する部分がある。筆者が所属するアクセルラボでも、2023年10月に設置やアフターサポートに特化した子会社のインスタテックを設立した。スマートホームの普及には、設置やアフターサポートの充実が重要な鍵になるとわれわれも考えている。

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