矢野経済研究所は、ドローンおよび配送ロボットを活用した国内の物流市場に関する調査結果を発表した。同市場規模を2025年度に23億2000万円、2030年度に198億3000万円になると予測している。
矢野経済研究所は2024年2月5日、ドローンおよび配送ロボットを活用した国内の物流市場に関する調査結果を発表した。同市場規模と参入企業の動向、将来展望について明らかにしている。
ドローンや自動配送ロボットを活用した国内物流市場は黎明期にあり、社会実装に向けた技術開発や法整備、ビジネスモデルの構築が進められている。本格的に同市場が立ち上がるのは2025年度頃になる見込みで、同社は同市場規模を2025年度に23億2000万円、2030年度に198億3000万円になると予測する。
ドローンと自動配送ロボットは主にラストワンマイルの配送において活用される。ドローンに関してはトラックによる配送が困難もしくは非効率になる中山間地域や離島などで実証実験が実施され、社会実装へと展開した事例もある。最も多いのは日用品や食料品の配送サービス、次いで医薬品の配送サービスとなっている。
2023年4月には道路交通法の一部改正があり、公道を走行する低速、小型の自動配送ロボットを用いた配送サービスが可能になった。地域の小売店舗から自宅までのオンデマンド配送サービスやフードデリバリーサービス、医薬品の配送サービスなどが想定される。2024年度以降は届出制に基づいて、自動配送ロボットの運用事業者が増えていく見込みだ。
また、2023年末にはドローンの「レベル3.5」飛行の新設が発表された。レベル3.5は、有人地帯を飛行する「レベル4」と、補助員や看板を設置して無人地帯を飛行する「レベル3」の中間に位置付けられる。無人地帯で目視外飛行するドローンの事業化を促進するために新設されたもので、2024年度内にレベル3.5の許可、承認期間を1日にする動きがある。ドローンは、既存の輸送手段と組み合わせて持続可能な物流網を構築する手段として、今後も導入が進むと考えられる。
自動配送ロボットについては、機体が量産化されていないためコスト高になる課題もあり、既存の物流手段では効率の悪い配送や、夜間早朝の配送を自動配送ロボットが請け負う仕組みを作るなど、既存物流と合わせたビジネスモデルを模索していく必要がある。今後、法律やルールが整備され、機体の量産化やビジネスモデルの構築が進むことで運用コストも下がると見込まれることから、同社は2030年度頃には中速中型の自動配送ロボットも社会実装されていくと予測している。
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