グリーン冷媒「R1234yf」を採用した冷蔵庫を対象に冷媒ガス漏れ修理を10年無料：脱炭素（2/2 ページ）

[遠藤和宏，MONOist]

冷媒ガス漏れ10年保証は2025年度から全機種／全製品を対象に

　冷媒ガス漏れ10年保証は、2024年4月から業務用冷凍冷蔵庫とキューブアイス製氷機小型タイプを対象にスタートする他、2025年度からは同社の全機種／全製品を対象とし、別置き型製品と施工物件も対象とする。同社 東京サービス部 部長代行の山田元信氏は「別置き型製品と施工物件については別途保守契約を結ぶ必要がある。保守契約には費用がかかる」と述べた。

冷媒ガス漏れ10年保証の対象機種［クリックで拡大］ 出所：フクシマガリレイ

　メンテナンス体制に関して、2024年12月時点で全国70以上の拠点に315人のサービス人員を配置する他、全国約300社以上の協力会社と協働でガリレイサービスネットワークを構築する。各地のサービス人員に冷媒取り扱い認定講習を実施しており400人以上のサービス人員が冷媒取り扱い認定を取得している。

フクシマガリレイのメンテナンス体制［クリックで拡大］ 出所：フクシマガリレイ

　サービス人材を育成する教育機関としてガリレイアカデミーも設立した。ガリレイアカデミーでは、メンテナンス技術力習得の場の提供や資格保有者の計画的育成による法令順守体制の強化、教育体制の充実による技術、ブランド、採用力の強化で貢献している

　山田氏は「ガリレイアカデミーでは、最初の2カ月間で製品の基礎知識や修理、メンテナンス、施工の技術を学習させる。後半にはOJT（現任訓練）を実施し、実際の業務を通じて、修理、メンテナンス、施工の技術に関する理解度と対応力を向上させ、即戦力の人材を育てている」とコメントした。

ガリレイアカデミーの設立目的［クリックで拡大］ 出所：フクシマガリレイ

　また、冷媒ガス漏れを防ぐ対応として耐久性の向上と初期不良の撲滅も行う。耐久性の向上では、冷媒ガスが流れるサクション配管に蟻の巣状腐食対策銅管「DANT」の採用拡大、蒸発器の表面処理強化、凝縮器のマイクロチャンネル採用、冷媒配管へのピンチ（銅管の端を一度ふさぎ、隙間をろう付けする方法）での超音波溶接機活用を実地する。

　初期不良の撲滅では、フロンリークディテクタによる検査、マイクロスコープによるロウ付け技能管理の徹底、元素分析装置による異物の特定、サーモグラフィーによるロウ付け技能管理の徹底を行う。

今回の取り組みの背景

　近年、地球環境への影響が問題視されているフロンとは、冷蔵庫やエアコンを冷やすために必要不可欠であった冷媒の1つだ。1960年代以降、爆発的に消費量が増大したが、1970年代から80年代にかけて、フロン類がオゾン層を破壊することが発見され、1987年のモントリオール議定書により特定フロンが規制対象となった。

　代わりにオゾン層を破壊しない代替フロンが利用されるようになったが、GWPがCO₂の数百倍から1万倍あることから、モントリオール議定書のキガリ改正で代替フロンも段階的に削減することが義務付けられた。現在は自然冷媒やグリーン冷媒への転換が進んでいる。

　こういった状況を踏まえて、フクシマガリレイは地球環境を取り巻くさまざまな問題への取り組みとして、2050年までに「カーボンニュートラル／脱炭素化社会の実現」に向けた環境ビジョン「Dramatic Future2050」を策定した。さらに2030年までを対象としたSDGsの目標「気候変動に具体的な対策を」への取り組みを柱として、「環境アクション2030」も策定している。

　環境アクション2030の取り組みの1つが、グリーン冷媒R1234yfを採用した製品の開発だ。加えて、冷媒漏えいによる地球温暖化ゼロを目指し、当初想定していた2025年から1年前倒し、グリーン冷媒であるR1234yfを採用した冷凍冷蔵庫と製氷機を対象に、冷媒漏えいによる故障を10年間保証する取り組みを開始した。

「環境アクション2030」［クリックで拡大］ 出所：フクシマガリレイ

「冷媒ガス漏れ10年保証」の記者会見におけるフォトセッションでのフクシマガリレイ 代表取締役 社長執行役員の福島豪氏［クリックで拡大］

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