ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズは2024年2月9〜14日の6日間、渋谷駅前にある体験型ストア「b8ta Tokyo Shibuya」において、同社のゴム人工筋肉(ラバーアクチュエータ)の新たな可能性を訴求する展示を行っている。
ブリヂストンの社内ベンチャーであるソフトロボティクス ベンチャーズは2024年2月9〜14日の6日間、渋谷駅前にある体験型ストア「b8ta Tokyo Shibuya」において、同社のゴム人工筋肉(ラバーアクチュエータ)の新たな可能性を訴求する展示を行っている。ロボットハンド向けなど産業用途での生産性向上を主眼において事業を展開してきたソフトロボティクス ベンチャーズだが、今回は一般消費者向けを強く意識した異色の展示となっている。
今回の展示は、「想いは筋肉に宿る」と題するとともに「柔らかいテクノロジーを介して想いを伝えたくなる場」がコンセプトになっている。店舗入り口に設けられた円形のテーブル上には空圧によって動作するゴム人工筋肉が多数設置されている。来場者がセンサーとなっている3本のゴム人工筋肉を、家族やパートナー、ペット、自分自身に対する想いを込めてギュッと握ることで、その想いがテーブル上のゴム人工筋肉に伝わって数十秒間ほどさまざまな動きをするという仕組みになっている。
展示の企画から開発、設置に至るまで、ソフトロボティクス ベンチャーズ所属の若手社員である石田潤子氏、手塚晶子氏、荒井航氏の3人が主導した。ブリヂストンにおける人的創造性向上に向けた取り組みの一環にもなっている。石田氏は「普段は大切な人に対してでもなかなか想いを伝えられないことが多い。今回の展示は、柔らかいテクノロジーであるゴム人工筋肉を介して、その思いを伝えるという体験が得られることを目指した。想いを込めてゴム人工筋肉を握ったときの手触り感や体験なども楽しんでもらえるとうれしい」と語る。
「想いを伝える場」という狙いもあって、バレンタインデーという期間や渋谷という場所を選んではいるものの、カップルでの来場を前提としているわけではない。想いを伝える対象としては、家族やペット、自分自身も入っており、ゴム人工筋肉の動きから自身の想いを見つめ直してもらうような狙いもある。そのとき感じたことを書き留めるためのメッセージカードやステッカーなども用意している。
なお、展示に用いたゴム人工筋肉としては、収縮が主な動きとなる通常タイプ、屈曲する動きが可能な板バネタイプ、ピアノ線を組み込んで複雑な動きが可能なスパイラルタイプの3種類を用いている。これらを、センサーとなるゴム人工筋肉を制御している空圧の変化を基に一定のランダム要素を組み込んで、6つの制御系でテーブル上の人工筋肉を動かしている。
ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ CEOの音山哲一氏は「ゴム人工筋肉を用いた新しいアプリケーションを考える中で、人とロボットの新たな関係性を模索している。完全に無機質なロボットでもなく、人でもない、第3の存在ともいえるゴム人工筋肉を、そのことを全く知らない一般消費者がどう感じるか、どう受け入れられるのかを見たい。その上で、ゴム人工筋肉の可能性を見極めたい」と述べている。
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