次は、ロケット関連の話題だ。
日本では、まずH3ロケットの2号機が注目される。初号機の失敗を受け、機体には対策を反映。計画自体も見直し、当初は、ブースターなしの新形態で先進レーダー衛星「だいち4号」(ALOS-4)を打ち上げる計画だったが、初号機と同じコンフィギュレーションに変更、大きなアルミの塊のダミーペイロードを搭載するということになった。
手堅い方針になったのは、もうこれ以上、完成を遅らせるわけにはいかないからだ。H3は当初、2020年度の完成予定だった。打ち上げる衛星もたまっており、この影響を受け、火星衛星探査計画「MMX」は2026年度に延期された。2機連続の失敗だけは、絶対に避けなければならない。打ち上げは今のところ、2月15日に行われる予定だ。
日本ではその他、スペースワンのカイロスロケット初号機の打ち上げ日が、3月9日と発表された。筆者が注目したいのは、このロケットが、鉄道で見に行けるということだ。2カ所用意されている公式見学場は、どちらもJRの最寄り駅から徒歩10分以内。残念ながら射点は直接見えないそうだが、これは斬新だ。
これまで、国内でロケットの打ち上げを見るためには、鹿児島県の種子島と内之浦、または北海道の大樹町に行く必要があった。どちらも遠方で、しかも自動車がないと不便な場所。カイロスの射点がある和歌山県串本町もアクセスが良いとはいえないものの、選択肢が増えるのは宇宙ファンとしてはうれしいところだ。
また、H3ロケットの登場によって退役するH-IIAロケットのラストフライトにも注目したい。2001年から長きにわたって日本の宇宙開発を支えてきたH-IIAも、残りはあと2機。最後の50号機は、温室効果ガス/水循環観測技術衛星「GOSAT-GW」を搭載し、2024年度に打ち上げられる予定だ。
H-IIAロケットは、6号機での失敗はあったものの、失敗はこの一度のみ。非常に信頼性の高いロケットであり、特に後半では、天候以外の延期もめったになかった。日本のロケットで50機というのはダントツで最多。一時代を築いたロケットの有終の美を、しっかり見届けたいところだ。
なお、イプシロンSロケットの初フライトは、今のところ2024年度後半の予定のままだが、これはどうなるか正直分からない。もともと、2024年度後半という目標は、第2段の地上燃焼試験で爆発事故が起きる前に決まっていたものであり、原因究明や対策で時間を取られたことを考えると、延期されても不思議ではない。
海外では、米ULAが、新型ロケット「Vulcan」の打ち上げを1月8日に実施した。これは、前述のPeregrineを搭載したもので、初号機からいきなり月への打ち上げとなったが、見事成功させた。Vulcanで注目されていたのは、第1段に、液体メタンのエンジンを採用したこと。打ち上げ時には、メタンの青い炎が非常に印象的だった。
そして2024年も、SpaceXの巨大宇宙船「StarShip」が大きな話題となるだろう。初の周回飛行に挑んだ2023年4月の打ち上げは、4分ほどで派手に爆発。同年11月に行った2回目の打ち上げでは、ブースターからの分離には成功したものの、すぐに通信が途絶していた。3回目の挑戦はどうなるか。成功しても失敗しても、楽しめることだけは間違いない。
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