筆者 エンジンはカワサキの排気量650cc、2気筒ですね。やはりこのコースレイアウトには2気筒があっているという判断ですか?
加藤さん はい、4気筒は高回転まで使えるコースではないし、単気筒は熱間始動性のリスクが大きい。2気筒が出力特性と始動性の面で最適だと判断しました。
筆者 私も全くそう思います。何年か前に総排気量の制限が700ccに拡大されたときに「ヤマハ発動機のMT-07のエンジンがいいよ!」と言い回っていました。このカワサキの650ccエンジンを搭載したモーターサイクル、Z650に試乗したことがありますが、低速からスムーズに吹き上がりまさにこのコース向きですよね。今回のマシンは2022年からの引継ぎですか? それともブランニュー?
加藤さん 完全な新規モデルです。特に変わったのがフレーム回りでカーボンを大幅に採用し、エンジンマウント用のフレーム回り、つまりリアセクション以外をカーボンモノコック構造としました。
ここで主催者によるコスト審査のインタビューのため取材終了。もう少しお話を聴きたかったのですが、審査を邪魔するわけにはいきません。京都大学は常に「他チームとは違うことをする」というスタンスです。過去、京都大学はホンダの排気量600ccの4気筒エンジン、ヤマハ発動機の排気量450ccの単気筒エンジン(この時にエアロデバイスなしのマシンで総合優勝)、そして今回の2気筒エンジン縦置きと全ての形式のエンジンを使ってきました。
今回のマシンもカーボンモノコックのフルエアロボディー、ドライバーの背後に立つ3本のエアボンベはクイックシフター用と、常に独特の変化を続けています。今大会の総合結果は13位でしたが、2023年のトラブルからの学びでスロットルバイワイヤとクイックシフターの信頼性を間違いなく上げてくることでしょう。
2023年10月14〜15日の2日間、浜松オートレース場で浜松市主催の「第21回バイクのふるさと」が開催され、モーターサイクルフリークの筆者も会場を訪れました。国内外のモーターサイクル販売店はもちろんのこと、さまざまな展示ブースが設けられ、相当の人出でした。その中に静岡大学学生フォーミュラのブースがあり、実車の展示やチラシの配布を行っていました。目的はスポンサー集めです。
スポンサーの支援は資金援助、部品の供与、金属加工、CAD/CAEの指導などさまざまです。資金援助は個人であれば1万円から、法人であっても10万円程度からサポートできます。当然、会社のロゴが車両やスポンサーボードに貼られます(これがF1だったら数億円必要です)。また、学生たちから届く月次活動報告や大会中の速報、そして大会終了後の活動総合報告などは、その技術的内容やスピード感には筆者も感心させられています。
学生フォーミュラ活動を通じてさまざまな能力を身につけた学生たちと交流を持つことで、有能な学生に企業の業務内容を知ってもらうというリクルート面でも効果があるのではないでしょうか。読者の方々も、地元の大学の学生フォーミュラチームのスポンサーになることを検討してみてはいかがでしょうか。
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