PwCコンサルティングが「2023年DX意識調査−ITモダナイゼーション編」の結果について説明。今回の調査では、ITモダナイゼーション成熟度結果における「準先進」の比率が前回比25ポイント増の54%となるなど大幅な進歩が見られた。
PwCコンサルティングは2023年12月14日、東京都内とオンラインで会見を開き、「2023年DX意識調査−ITモダナイゼーション編」の結果について説明した。同調査は、2021年3月から行っている「ITモダナイゼーションの取組状況に関する意識調査」の第3弾となるが、ITモダナイゼーション成熟度結果における「準先進」の比率が前回比25ポイント増の54%となるなど大幅な進歩が見られた。「DX(デジタルトランスフォーメーション)やITモダナイゼーションという観点で2023年は大きな潮目の年になったといえるかもしれない」(同社 パートナー クラウドトランスフォーメーションリーダーの中山裕之氏)という。
今回の「2023年DX意識調査−ITモダナイゼーション編」は、2023年9月に売上高500億円以上のITモダナイゼーションに関与している企業/組織の課長レベル以上500人を対象に行われた。回答者が所属する企業の業界比率は、29%の製造業を筆頭に、金融が24%、流通が16%、テクノロジー10%など各種産業を網羅している、所属部門もIT部門/デジタル推進などのいわゆる情シス系が35%と最も多いものの、事業部門が31%、コポーレート管理部門が20%、経営企画が13%などとなっており、企業規模も売上高1兆円以上から同500億〜1000億円まで幅広くカバーしている。
調査のテーマとなるITモダナイゼーションについては「単なるクラウド導入のような新たなITシステムの採用にとどまらず、ITに関連する人材、プロセス、組織に関する評価指標も視野に入れて、時代に即したITの“あり方の再定義”をどのように進めているのかを調査している」(中山氏)という。そこで、ITモダナイゼーション成熟度の判定因子として「アジャイル開発手法の適用」「パブリッククラウドの活用」「クラウドネイティブ技術の活用」の3点に関わる質問を行い、それらの活用度合いに応じて3つの全てで全社的に活用している場合は「先進」、3つの全てで一部であるが本番で活用中の場合に「準先進」、先進と準先進以外の状態を「その他」と分類している。
第3弾となる今回の調査結果では、先進は前回比1ポイント増の8%にとどまったものの、準先進は同25ポイント増の54%と大幅な増加を見せた。第2弾の調査において、準先進は前回比同4ポイント増の29%にとどまっていたことから考えれば、国内企業におけるITモダナイゼーションが大きく進んだといえる結果だ。
この準先進の大幅な増加をけん引したのが「アジャイル開発手法の適用」「クラウドネイティブ技術の活用」での進捗である。先進に当たる「全面展開中」と準先進に当たる「一部展開中」を合計した数値で見ると、「アジャイル開発手法の適用」は前回比27ポイント増の72%、「クラウドネイティブ技術の活用」は同29ポイント増の82%に達している。
中山氏はアジャイル開発の導入が進んだ背景として「アジャイル開発の効果として『開発期間の短縮』よりも『不要な開発の削減』が評価されるようになっている。アジャイル開発の起点となる『アジャイルソフトウェア宣言』の原則でも、『不要な開発の削減』がメリットとして挙げられており、そこで得られた成功体験から普及に向けた次のサイクルに入りつつあるのではないか」と指摘する。
また、「クラウドネイティブ技術の活用」についても、オンプレミスのデータセンターの代替としてクラウドをIaaSで利用する段階から、クラウドに適した技術としてPaaSやSaaSを適宜活用する第2段階に入っている影響があるという。
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