旭化成のDX戦略、MIで従来品の2倍の性能を実現し共創型MIの基盤も構築マテリアルズインフォマティクス(1/4 ページ)

旭化成は、東京都内とオンラインで説明会を開き、マテリアルズインフォマティクス(MI)の導入やデジタル人材の育成など、DXに関する同社の取り組みを紹介した。

» 2023年12月14日 08時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 旭化成は2023年12月7日、東京都内とオンラインで説明会を開き、DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する同社の取り組みを紹介した。

各現場でデジタル活用をリードする約2500人の人材を育成中

 同社では、構造転換や10の成長けん引事業(Growth Gears10、GG10)の加速、経営基盤を強化するために、GX(グリーントランスフォーメーション)や「人材」のトランスフォーメーション、DXに取り組んでいる。

旭化成がなぜDXを推進するのか[クリックで拡大] 出所:旭化成

 DXによって、顧客ニーズや環境変化に迅速に対応する事業戦略の展開、材料提供事業からソリューション事業への転換、新ビジネスモデルの構築、継続的なイノベーション創出による競争力の強化を加速。さらに、多様な無形資産(人材、知財、ノウハウなど)を最大限活用し、技術やアイデアを事業に結び付けている。

 DXの導入スケジュールをまとめている「デジタル変革のロードマップ」によれば、2016〜2020年はデジタル導入期で機能別DXの基礎固めとしてマテリアルズインフォマティクス(MI)や生産技術の革新などを実施した。

「デジタル変革のロードマップ」[クリックで拡大] 出所:旭化成
旭化成 取締役 兼 専務執行役員 デジタルトランスフォーメーション統括 久世和資氏[クリックで拡大] 出所:旭化成

 2020〜2022年は、デジタル展開期でDXの導入計画「Asahi Kasei DX Vision 2030」を策定した他、デジタル共創本部の設立や共創ラボの開設を行い全社でDXを進めた。

 旭化成 取締役 兼 専務執行役員 デジタルトランスフォーメーション統括の久世和資氏は「当社のデジタル共創本部には約200人の社員が所属している。この人数で全社員のデジタル活用を後押しすることは難しいため、現在は旭化成グループの各現場でデジタル活用をリードする約2500人のデジタルプロ人材を育成中だ。デジタルプロ人材によって現場主導でDXを推進していく」と話す。

 2022〜2024年は、デジタル創造期でDXによりマテリアル、住宅、ヘルスケアの領域で、ビジネス変革や経営の高度化、デジタル基盤強化を行い経営を革新させることを目指している。「ビジネス変革では、水素関連、CO2ケミストリー、蓄エネルギー自動車内装材、デジタルソリューション、環境配慮型住宅/建材、バイオプロセスなどから成るGG10で事業の変革を行っている。さまざまな領域に属するGG10をDXで横断的に管理することで、人材と物流のDXや営業/マーケティング、研究/開発、生産/製造、品質保証を効率化している」(久世氏)。

デジタル変革の全体構成[クリックで拡大] 出所:旭化成
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