ファナックは「2023国際ロボット展」において、新たに追加した食品対応仕様の協働ロボットのラインアップなどを紹介した。
ファナックは「2023国際ロボット展」(2023年11月29日〜12月2日、東京ビッグサイト)において、新たに追加した食品対応仕様の協働ロボットのラインアップなどを紹介した。
少子高齢化の進展により人手不足が各業種で深刻化する中、厚生労働省の調査で食料品などの製造業は製造業全体と比べても欠員率が2倍近くになるなど問題は一層深刻となっており、自動化、省人化のニーズが高まっている。
ファナックでは既に協働ロボット「CRXシリーズ」として可搬重量5kg、10kg、20kg、25kgのモデルを展開しているが、今回、これらの全機種において、異物混入対策としてエポキシ塗装を施し、食品機械用のグリスを使用するなどした食品対応仕様をラインアップした。幅広い可搬重量のラインアップにより、生産ラインにおいてケーキにクリームを絞るといった軽作業だけでなく、加工を終えた食品を詰めた番重などの搬送もできるようになった。
会場では、食品対応仕様の協働ロボットとケーキを模したサンプルを使用したデモンストレーションも披露。来場者がケーキに描くデコレーションの模様を教示用の協働ロボットにダイレクトティーチングすると、そのデータを圧縮してコンベヤーの前にいる2台の協働ロボットに伝え、流れてくるケーキを止めずにロボットが追従してその模様を描いていくという内容だ。実際にティーチングした動作の時間より、3倍以上早いスピードで動作を行わせることができるという。
新たな50kg可搬の中型ハンドリングロボット「M-710iD/50M」によるデモも行った。M-710iDはアームを湾曲させており、前方に障害物があっても干渉を回避して深い場所に到達することができる。関節部分の露出を抑えて防塵防滴性能を強化しており、より厳しい環境でも使用できる。会場では3Dビジョンセンサーを活用して、カゴ台車の一番下までアームを伸ばし、段ボール箱を取り出してパレタイジングを行った。
70kg可搬の中型ハンドリングロボット「M-710iD/70」が動く車体にシートを取り付けるデモも披露。ロボット側のカメラが自動車側に付けられたマークを読み取ることで位置を把握。ライン上を動く自動車にロボットが追従しながら、シートの取り付けを行った。エンコーダーを使用した位置合わせでは、エンコーダーから得た値と実際の走行量に誤差が生じる恐れがある。カメラを使用することでより正確性を高めることができる。
同社調べでは、ロボット制御装置として世界で初めてサイバーセキュリティ対応の国際規格「IEC62443-4-1」「IEC62443-4-2」を取得した「R-50iA」「R-50iA Mate」も出展した。制御性能も向上しており、軌跡上での信号出力、センサートラッキングの精度が向上している。低消費電力、低損失パワー素子搭載アンプなどにより消費電力を削減している。
500kg可搬の重可搬ロボット「M-950iA/500」も紹介。上方への直立や後方までの回転が可能で、広い動作領域を誇る。軽量化が進むEV(電気自動車)のバッテリーや車体の搬送などを想定している。
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