ファナックは、「CEATEC JAPAN 2018」において、AIを活用して知能化を進めたロボット製品や、製造現場のスマート化を加速する「FIELD system(FANUC Intelligent Edge Link & Drive system)」の進捗状況などを紹介した。
ファナックは、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、千葉県・幕張メッセ)において、AI(人工知能)を活用して知能化を進めたロボット製品や、製造現場のスマート化を加速する「FIELD system(FANUC Intelligent Edge Link & Drive system)」の進捗状況などを紹介した。
「FIELD system」は2016年4月にファナックとシスコ、ロックウェル、PFNの4社で協力して開発を進めることを発表。その後、2016年7月にNTT、NTTコミュニケーションズ、NTTデータというNTTグループ3社が基盤開発に加わり、7社を主要メンバーとして開発を推進。ちょうど1年前のCEATEC JAPANの会場で、運用開始を発表している※)。
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運用開始後1年を経過した手応えとしてファナック 理事 研究統括本部 FIELD推進本部 企画一部 部長の寺田彰弘氏は「開発段階でもさまざまな実証などを自社内では進めてきていたが、実際に顧客の工場などで使用されるようになり、多くのデータやフィードバックなどが集まるようになった。『FIELD system』はエッジヘビーの思想のもと進化する現場向けシステムであり、多くのデータが集まることで新たな進化を実現できる」と語っている。
具体的には「つながる化、見える化の領域から“分かる化”の方向性での進化を進めているところだ」(寺田氏)とする。「FIELD system」はまず、アプリケーションとして、製造機器データの統合的な見える化や分析ができる「iPMA」、製造機器の予防保全を実現する「iZDT」、工作機械の加工時間を高精度に予測する「加工時間予測」、製造現場の利用者の操作権限や操作履歴を管理する「個人認証・履歴管理」の4つがリリースされた。まずは、前回のJIMTOFなどでも注目された、多くの機械の一元的な稼働情報管理から導入が進んでいる※)が、現場の改善を容易にするためには得られた情報を分析して理解し、どうすればよいかを示すことが求められる。その分析の領域での取り組みを強化するということである。
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現状では、FIELD system上の波形分析などにAIなどを活用してはいないが「今後は活用できるようにしていく」と寺田氏は述べている。
iZDTでも、検知した同社製品のアラームに対して、保守実績データベースに接続し、対策の候補を通知可能にしている。また、対応アプリケーションなども拡大。現状は自社工場からの要望に応える形でアプリケーションの拡張を進めており、新たに「CNCプログラム編集履歴アプリ」や「設備日常点検アプリ」など日常業務をサポートするアプリをリリースした。
ただ、今後はさらにサードパーティーによるアプリ開発を推進。「FIELD system」のベーシックソフトウェア側にバックアップなどのデータベース管理機能を搭載し、データベースを使ったアプリケーション開発を容易にした他、SDKの機能強化なども進めており、今後は大きくアプリ数拡大を目指す方針を示している。寺田氏は「発表当初に計画していたものは、ほぼ世に送り出すことができつつある。今後はさらなる進化を目指していく」と述べている。
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