日本の各部門で、総固定資本形成や固定資本減耗がどのように推移してきたのか統計データを見てみましょう。
上のグラフが家計、企業、政府それぞれの総固定資本形成、固定資本減耗、その差し引きの固定資本形成(純)のグラフです。なお、固定資本形成(純)は、正式に定義されている用語ではなく、概念の理解のために私の作った造語です。
また、1993年から1994年にかけての変化は、1993SNAと2008SNAの基準が切り替わる影響で、数値が大きく変わっていますのでご注意ください。
どの部門も、最近は投資=総固定資本形成と、その目減り分である固定資本減耗が同じくらいですね。ただ、企業はバブル崩壊まで、家計と政府は1990年代後半までは投資が増加傾向だったようです。
総固定資本形成の方が固定資本減耗よりも大分大きくて、固定資本形成(純)も大きくプラスです。
とても重要なポイントですね! 企業はバブル崩壊を機に投資を増やさなくなり、家計と政府は1990年代後半からむしろ減らしています。
資本主義経済は投資により生産性が向上して成長するというモデルのはずなのですが、日本の場合は誰も投資を増やさなくなり、むしろ減らしてすらいるわけですね。
経済のエンジンともいえる企業部門が投資を増やしていないというのは致命的な気がします。一体なぜなのでしょうか?
それは、時系列で他国と相対化してみると分かるかもしれません。総固定資本形成の国際比較は次回ご紹介します。
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