サンダーソフトジャパンは、中国サンダーソフトと米国クアルコムの両社が合弁でSOM製品を中心としたIoT向けプラットフォームを展開しているサンダーコムの事業について説明した。
サンダーソフトジャパンは2023年11月24日、東京都内で会見を開き、中国サンダーソフト(Thundesoft)と米国クアルコム(Qualcomm)の両社が合弁でSOM(System on Module)製品を中心としたIoT(モノのインターネット)向けプラットフォームを展開しているサンダーコム(Thundercomm)の事業について説明した。クアルコムのスマートフォン向けSoC「Snapdragon 8 Gen 2」ベースのプロセッサを搭載するSOM「TurboX C8550」上で、70億パラメータのLLM(大規模言語モデル)を組み込んで動作できるようにするなど、エッジデバイス上でのAI(人工知能)実行に対するニーズの高まりに対応する方針である。
サンダーソフトは、スマートフォンや車載システムなどの高性能の組み込みシステム向けにOSを中心としたソフトウェアの受託開発やミドルウェア供給などを行っているベンダーである。コロナ禍に見舞われた2020〜2022年の3年間でも売上高で年率30%以上、営業利益でも同19%以上の成長を続けている。15カ国/42都市で事業を展開しており、従業員数は1万3000人以上、中国外の従業員も2000人以上となっている。サンダーソフトジャパン 代表取締役社長の今井正徳氏は「日本法人も同様の成長を遂げている。今後のさらなる成長に向けて注力している分野が、サンダーコムを中心に展開しているスマートIoTだ」と語る。
サンダーコムは、2011年にサンダーソフトとクアルコムが立ち上げた合同ラボを起点に、2016年に合弁会社として設立された。事業の中核となるSOM製品ブランド「TurboX SOM」に加えて、IoTとなる製品ごとに求められる各種IPや、AIアルゴリズム、クラウドとの連携ソリューションなどを拡充している。
TurboX SOMは、OSとしてAndroidやLinux、Ubuntuを軸とする形で40品種以上をラインアップ。Wi-Fi、Bluetoothなどで通信接続するスマートモジュール、LTEや5Gなどのセルラー通信を利用可能なセルラーモジュール、クアルコムが開発を進めるArm版Windows対応のプロセッサを搭載するコンピュートモジュールに分けて、顧客の要望に合わせた提案を行っている。「これまで採用事例は、中国そして日本が多かったが、欧米での採用も広がりつつある」(今井氏)という。
クアルコム ジャパン 副社長の中山泰方氏も「クアルコムではIoT関連事業をCSS(Connected Smart Systems)部門が担っているが、CSS部門とサンダーソフト、サンダーコムの目指す方向性は一致している。サンダーコムの立ち上げから約7年間で一定規模まで成長できたが、今後もさらなる成長を続けていきたい。CSS部門は3年間で1.5倍という売上高成長を見込んでおり、サンダーコムの事業も含めて日本でも同様の成長目指していく」と述べる。
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