図5に示すように、遮音箱の中に出力W[W]の音源があるとします。音源からr[m]の位置にいる作業者が感じる音圧レベルを求めましょう。図5では部屋の吸音材の後ろに背後空気層がありますが、今回は“背後空気層がない”ものとして計算します。なお、背後空気層があると、薄い吸音材を用いても、背後空気層の厚さがプラスされるほどではありませんが、それに近い吸音率を得ることができます。
遮音箱の中の音圧レベルを求めます。やり方は2通りあります。1つ目は連載第17回の式25です。次式となります。
音源から距離が離れると箱の中は拡散音場となり、式1の第2項が支配的となるため、遮音箱内側の音圧レベルは式14となります。
平面音波ないしは球面音波の式を使います。図5において箱の内側の音が箱内面に当たるときの音のエネルギーは次式となります。
遮音箱の中の音圧レベルの求め方の2つ目を述べます。拡散音場があるとします。拡散音場の体積ΔVの微小な領域にはエネルギーがあるはずです。これを「音のエネルギー密度」といいます。拡散音場の単位体積当たりの音のエネルギーの時間平均をwavと表記します。wavの単位は[J/m3]です。拡散音場の中に箱があって、箱にあらゆる方向から入射する状態を図6左図に示します。単位時間、単位面積当たりの音のエネルギーは次式で表されます(参考文献[1])。
反対の発想で、箱の中が拡散音場で箱から外に出射するエネルギーも同じと考えることができます。図5において、箱の内側の音が箱内面に当たるときの音のエネルギーは次式となります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.