吸音材と遮音材を使ったら騒音を何デシベル低減できる?CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(19)(3/5 ページ)

» 2023年11月21日 09時00分 公開

遮音材と吸音材を組み合わせたときの音圧レベルの計算[屋内]

 図5に示すように、遮音箱の中に出力W[W]の音源があるとします。音源からr[m]の位置にいる作業者が感じる音圧レベルを求めましょう。図5では部屋の吸音材の後ろに背後空気層がありますが、今回は“背後空気層がない”ものとして計算します。なお、背後空気層があると、薄い吸音材を用いても、背後空気層の厚さがプラスされるほどではありませんが、それに近い吸音率を得ることができます。

遮音箱で囲われた音源が置かれた部屋 図5 遮音箱で囲われた音源が置かれた部屋[クリックで拡大]

 遮音箱の中の音圧レベルを求めます。やり方は2通りあります。1つ目は連載第17回式25です。次式となります。

式13 式13

 音源から距離が離れると箱の中は拡散音場となり、式1の第2項が支配的となるため、遮音箱内側の音圧レベルは式14となります。

式14 式14

 平面音波ないしは球面音波の式を使います。図5において箱の内側の音が箱内面に当たるときの音のエネルギーは次式となります。

式15 式15

 遮音箱の中の音圧レベルの求め方の2つ目を述べます。拡散音場があるとします。拡散音場の体積ΔVの微小な領域にはエネルギーがあるはずです。これを「音のエネルギー密度」といいます。拡散音場の単位体積当たりの音のエネルギーの時間平均をwavと表記します。wavの単位は[J/m3]です。拡散音場の中に箱があって、箱にあらゆる方向から入射する状態を図6左図に示します。単位時間、単位面積当たりの音のエネルギーは次式で表されます(参考文献[1])。

拡散音場内での箱に入射するエネルギーと箱から出射するエネルギー 図6 拡散音場内での箱に入射するエネルギーと箱から出射するエネルギー[クリックで拡大]
式16 式16

 反対の発想で、箱の中が拡散音場で箱から外に出射するエネルギーも同じと考えることができます。図5において、箱の内側の音が箱内面に当たるときの音のエネルギーは次式となります。

式17 式17

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