「結局、何デシベル下がるの?」という問いに対しては、騒音のオーバーオール値を答える必要があります。そのためには、全ての周波数の総和を計算する必要があります。この総和をオーバーオール値といいます。通常の騒音計が表示するのはオーバーオール値です。
表1の場合、63、125、250、500、1000、2000、4000、8000[Hz]の音圧の総和を求めることになります。では、周波数の異なる2つのsin波の和の実効値の二乗Pe2はどうなるか計算してみましょう。2つのsin波は次式とします。P1e、P2eは実効値です。
式2の第3項を考えましょう。次式となり、図3の積分となります。図3の下側のグラフに注目します。対称性がありますね。積分間隔Tをp1(t)の周期T1とp2(t)の周期T2の最小公倍数とすると、式2の第3項の積分はゼロになります。
よって、周波数の異なる2つのsin波の和の実効値の二乗は次式となり、それぞれのsin波の実効値の二乗の和となります。実効値の計算は連載第2回の式32を参照してください。
では、表1の測定値のオーバーオール値を計算しましょう。まず、デシベルの定義を式5、式6に示します。i=1が63[Hz]での値、i=2が125[Hz]での値とします。
遮音材による減衰後の音圧レベルは次式で求めます。
式6でそれぞれの周波数の音圧実効値(測定値)の二乗を求めます。式8でそれぞれの周波数の音圧実効値(遮音材による減衰後)の二乗を求めます。
次に式9、式10で実効値の二乗の和を求めます。
測定値と遮音材による遮音後の騒音レベルのオーバーオール値は次式となります。
これらの計算を行う「Excel」シートを図4に示します。これくらいであれば自分で作れるでしょう。
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