家庭内電力網として図7を考える。電気は風力発電および太陽光発電から供給されるが、家庭の屋根にも太陽光パネルを設置し、最大発電時には1日の収支として、家庭内の消費エネルギーを賄える設置面積とする。また、非常時を考慮して、各戸には1日分の電気を蓄えておくことのできる蓄電池を設置する。屋根設置の太陽光パネルによる発電エネルギーは、余剰時には蓄電池に蓄えられるが、蓄電池が満充電状態の場合には、余剰電力は公共網を通して発電エリアの大規模蓄電池に送られる。一方、家庭内の消費電力は通常の家電機器(照明、テレビ、エアコンなど)の他に、ヒートポンプ式給湯器、電気自動車(EV)の充電からなる。以下、家庭内の消費電力の見積もりを行い、これとエネルギー的にバランスのとれる太陽光パネルの大きさについて考える。
ここでは、家族4人の標準的な家庭の消費電力を考える。図8に家庭内消費電力(給湯器、EV充電を除く)の1日の変化(例)を示す。家庭の状況にもよるが、このように夜にピークを有するパターンになるものと考えられる。このパターンを1日で時間積分すると14.8[kWh]となり、これが標準的家庭の1日の消費エネルギーとなる。
次に、ヒートポンプ式給湯器の消費電力を見積もる。使用するお湯として風呂用に200[L(リットル)]、家事用に100[L]とし、温度上昇をΔT=20[℃]とすると、必要なエネルギーEは以下となる。
ここでのρは水の密度、cは比熱である。今、5時間(午前10時から午後3時の5時間)かけて上記を達成するための必要電力は、ヒートポンプの特徴(消費電力が3分の1)を考慮して、
であり、総エネルギーは以下となる。
最後に、EV充電の見積もりを行う。EVの電費を300[Wh/km]、1日の走行距離を50[km]とし、これに必要な電気を毎日充電する場合、必要なエネルギーは、
となる。従って、6時間(深夜0時から朝の6時までの6時間)かけて上記を達成するのに必要な電力は以下となる。
以上から、家庭内消費電力の1日当たりの総エネルギーは、
となる。一方、太陽光発電の晴天時の発電量は午前6時から午後6時までの間で、
となる。これが家庭内電力消費量32.1[kWh]と等しくなるには、Ahome=21.9[m2]となる。すなわち、太陽光パネルの大きさは3×7[m]とする。
グリーンシティー全体のエネルギー収支の考え方を最初に決める。ここで、重要なことは外部にエネルギーを売ることはあっても、外部からエネルギーの供給を受けることはないということである。これが“自然エネルギーで自活する街”の大前提である。このために、下記を前提にエネルギー収支を考える。
以上から、発電用の太陽光パネルの面積をAとすると、
となり、これからA=1.096×104[m2]となる。この結果から少し余裕をもってパネルの大きさは400×30[m]とする。
一方、風力発電は図5に示す型式のものとすると、この際の発電エネルギーは図6から1台当たり約1500[kWh]と読み取れる。ここに、風車の台数をNとすると、
となり、これからN=5.86となる。従って、風車の台数は6台とする。
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