シャープは「CEATEC 2023」のアドバンスドテクノロジーエリアに出展し、15年の歴史を誇る同社独自の生物形態模倣技術「ネイチャーテクノロジー」の歩みと新プロダクトについて訴求していた。
シャープは、「CEATEC 2023」(2023年10月17〜20日、幕張メッセ)のアドバンスドテクノロジーエリアにおいて、「Next-generation global environment」をテーマに出展し、「創・蓄・省で実現するSHARPのカーボンニュートラル」「SHARPのサスティナビリティ」「DIGITAL HEALTHCARE」「独自技術(ネイチャーテクノロジー)」の4つのゾーンで、同社の技術やソリューションを幅広く訴求していた。
そのうちの1つ、独自技術(ネイチャーテクノロジー)のゾーンでは、生物に備わる構造などから着想を得て製品性能の改善に役立てる同社独自の生物形態模倣技術「ネイチャーテクノロジー」について紹介していた。
いわゆる、生物が有する構造や形態、それらに基づく機能を模倣する「バイオミメティクス(生物模倣)」のアプローチを製品開発や性能改善に応用した取り組みであり、同社では15年の歴史があるという。その成果は研究開発にとどまることなく、既にさまざまな家電製品に採用されており、展示ブースでその事例を紹介していた。
「生物模倣から着想を得て、初めて製品に取り入れたのが2008年に発売されたエアコンの室外機のプロペラファンだ。当時の開発担当者が省エネ化で思うように成果が出ずに苦労していた際、生物模倣学の学会に刺激を受けて取り組んだのがきっかけとなった」(説明員)
ちなみに、このプロペラファンには鳥の翼の平面形が応用されており、羽根の円周部にできる渦を小さくするとともに、後端部に排出される渦も小さくでき、次の羽根への衝突を最小限に抑えられるようになったという。さらに、羽根の中心部の厚みにも鳥の翼形状を応用して空気を吸い込む力が向上。その結果、送風効率が従来比で約20%アップした。他にも、風の抵抗をうまく逃がせるようになったことで中心にあったボス部が不要となり、ファンを回すモーターの小型化にも貢献している。
展示ブースでは、蝶の羽根を応用して開発した扇風機ファン、ツバメの翼形状を応用して開発したドライヤーファン、イルカの尾びれと表皮しわを応用して開発した洗濯機のパルセーター、蛾の目の構造を模した「モスアイ技術」で加工したフィルムを張ったフェイスシールドなどが展示されていた。
また、ネイチャーテクノロジーの技術領域の拡大を目指し、生物の動きにも着目した運動模倣技術を初めて採用したネイチャープロダクトとして、「はねやすめ」を参考出品した。フクロウの羽ばたきを手本に、心地よい自然の風を再現したヒーリングファンとして開発したもので、フクロウとミミズクの2種類のモデルが用意されていた。2024年度に発売する予定だという。
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