ドゥカティのハイエンド二輪車向け次世代デジタルディスプレイの開発で提携組み込み採用事例

Qt Groupは、ハイエンド二輪車に搭載する次世代デジタルディスプレイの開発をサポートするため、二輪車メーカーのドゥカティとの連携を発表した。

» 2023年09月29日 14時00分 公開
[MONOist]

 Qt Groupは2023年9月20日(現地時間)、ハイエンド二輪車に搭載する次世代デジタルディスプレイの開発をサポートするため、二輪車メーカーのDucati(ドゥカティ)と連携すると発表した。

 「Ducati Scrambler」の2023年モデルは、Qt for MCUsテクノロジーを採用した初のモデルとなる。デジタルディスプレイにマイクロコントローラー(MCU)を採用し、スナップブート、正確なタイミング、熱効率、リアルタイム制御が必要な用途向けにツールを提供する。

 Qt for MCUsは、MCUやローエンドMPUのフットプリントに合わせて最適化したライブラリを用いて、ベアメタル環境あるいはリアルタイムOS上で動作する。Qt for MCUsのグラフィックスフレームワークを利用することで、1.5MBのRAMで高性能な疑似3Dグラフィックスを表示できる。

キャプション Qt for MCUsを活用したデジタルディスプレイ[クリックで拡大] 出所:Qt Group

 新しいデジタルディスプレイには、Ducatiの特徴である流動性と優雅さを反映した、優れた操作性や処理性能が求められる。そのため、Ducatiの二輪車のクラスタデザインには、洗練されたスプラッシュスクリーンアニメーションや見やすさを追求した多言語メニューなどが含まれる。

 Ducatiの二輪車である「Scrambler」のクラスタ開発を担当したティア1サプライヤーのEgiconによると、Qtの技術を用いて、UI開発とテストをPC上で実行するのと並行して、別のチームがハードウェアのベアメタル開発に取り組めたことで、納期が50%以上短縮できたという。

 Qt Groupが2023年に実施した調査では、開発予算の3割以上をUI、UXの向上に当てる予定と回答した企業は52%で、2022年の25%から大幅に増えていた。メーカーの競争力を高める上で、UIおよびUXが重視され始めていることがうかがえる。

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