1週間お疲れさまでした。9月が始まりましたね。このままあっという間に年末に突入してしまう気がします……。今週は国内では75年ぶりとなる新設の路面電車「芳賀・宇都宮LRT」が栃木県宇都宮市と芳賀町で開業しました。通勤で早速使ってみたという方もいらっしゃるでしょうか?
1週間お疲れさまでした。9月が始まりましたね。このままあっという間に年末に突入してしまう気がします……。今週は国内では75年ぶりとなる新設の路面電車「芳賀・宇都宮LRT」が栃木県宇都宮市と芳賀町で開業しました。通勤で早速使ってみたという方もいらっしゃるでしょうか?
ちなみに、75年前(1948年)に開業した路面電車は富山県の万葉線だそうです。JR高岡駅と国際拠点港湾である伏木富山港の新港地区を結びます。利用者の減少により廃止してバスに切り替えることも検討されましたが、第三セクターが運営を引き継ぎました。北日本新聞社によれば、2022年度は3年ぶりに黒字を確保。観光客の利用増加に伴い、輸送人員も3年ぶりに100万人を超えました。
さて、芳賀・宇都宮LRTはJR宇都宮駅の東口から、大学のキャンパスや高校、スタジアムなどを通って芳賀町工業団地までを19カ所の停留所で結びます。JR宇都宮駅の西側にも路線を5km延ばす計画があり、西側は2030年代前半の開業を目指しています。西側は東武宇都宮駅を通り、旧採石場などがある大谷エリアにもつなげることが検討されているそうです。
芳賀・宇都宮LRTは終点まで各停で44分、快速で37〜38分とのこと。JR宇都宮駅の新幹線の始発と終電に合わせて、午前6時台から午後11時台まで走ります。通勤通学のラッシュ時間帯などは6分間隔で、それ以外の時間帯は10分間隔で運行するので、結構便利なのではないでしょうか。SNSを観察していると、「通勤渋滞に巻き込まれずに済むのはいい」「渋滞の中1時間近く運転する疲労を考えるとありがたい」という声を見掛けました。
Webサイトで芳賀・宇都宮LRTの路線図を眺めていると、乗り換え施設の「トランジットセンター」の他、駐車場やバス停留所、駐輪場、地域内交通の乗降所の有無などについて表示があります。その表示の通り、さまざまな移動手段を使い分けながら、出かけやすく暮らしやすい街「ネットワーク型コンパクトシティー」を目指すとしています。
宇都宮市では自動車への依存が進んで公共交通の利用者が減少傾向にあり、公共交通のサービス低下が懸念されています。その一方で住民の高齢化も進んでおり、運転免許を自主返納する人も増えています。そのままでは、「クルマの運転をやめたいが、やめてしまうとどこにも出掛けられない高齢者」が増加します。出掛けづらい人が増えて消費が停滞すれば、商売やビジネスをやる人は離れていってしまいます。
芳賀・宇都宮LRTは、クルマに過度に依存しなくても移動しやすい街づくりを担っています。芳賀・宇都宮LRTのルートを走るバスについては、市内全域に割り振りなおすことで、本数や路線を増やすとしています。これまでより路線バスも便利にしていくようです。
最近、ドライバー不足でタクシーや路線バスの運行に支障を来す地域に関するニュースをよく見聞きするようになりました。どのような制度改革をやってもすぐにドライバーが増えるとは考えにくく、もうドライバーが増えない/確保できない前提に立つ時期が来ているのかもしれません。
自動運転技術で全国のタクシーやバスの需要でドライバーが不足している分を補えるようになるにはまだ時間がかかります。また、芳賀・宇都宮LRTの最初の構想は30年以上前にさかのぼるそうで、芳賀・宇都宮LRTの開通した区間の概算事業費は684億円でした。時間もおカネもかかることは明らかです。ライドシェアや電動キックボードのように、運転する人の良識に依存するタイプの新しい手段だけでは、移動手段の課題は解決しきれないようにも思えます。
人口減少や高齢化を見据えた街の在り方をどう考えるか。産業や気候、成り立ちが違う地方の方が地域ごとに特色が出て面白い領域かもしれません。「未来の東京」よりはずっと興味深いです。
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