製造業を取り巻く環境が変わる中、力量管理で扱う人材情報に注目し、戦略的な人材育成/配置や組織力強化に活用する企業が増えてきました。本連載では組織的なデータ活用による発展的な力量管理を「スキルマネジメント」と呼び、その考え方や取り組み方を解説していきます。
第1回では、「製造業でスキルマネジメントが”今”求められる背景と課題」をお伝えしてきました。
筆者が所属するSkillnote(以下、当社)ではスキルマネジメントを「組織や従業員が持つスキルデータを継続的に収集、蓄積し、人材マネジメントに活用することで事業価値の向上、品質/生産性の改善、組織の活性化を実現すること」と定義しています。
これを進めるには自社のスキルを整理し、スキルデータとして蓄積、活用できる形にする必要があります。今回はスキルを整理するための考え方と、整理の進め方を解説していきます。
以下の図は、業務遂行能力(力量)の構成要素を表現したものです。スキルマネジメントではスキルを中心に、知識や教育/訓練、経験、資格などの業務遂行能力(力量)を項目に分けて管理します。その際に、最初に取り組むべきことの1つが「言葉の定義」です。特にスキルの定義が重要になります。
これまでスキルの整理に取り組む多くの企業と対話してきましたが、その中でよくあがるお悩みの1つが「言葉の定義がそろっていない」というものでした。
皆さまの会社や職場では、「スキル」をどのように定義していますか。一般的なスキルの定義は、「実践や経験を通じ獲得した技術/技能」でしょう。この考えに基づき、スキルと知識やタスクとの違いを明確にして、社内で定義を統一することが大事です。まずは時間を掛けて、この作業に取り組む必要があります。
当社では企業のスキル整理のプロセスで、取り得る手法は2パターンあると考えています。
(1)フォアキャスティング型
(2)バックキャスティング型
フォアキャスティング型は「過去や現在の情報をもとに、将来の状況を予測し、取り得る改善点を考える手法」です。一方、バックキャスティング型は「将来の目標やビジョンを設定し、その達成に必要な手段や戦略を逆算する手法」となります。
では、これらの考え方をスキル設計の方法に当てはめるとどうなるでしょうか? 次ページからはそれぞれについて解説していきます。
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