国内製造業がデータ利活用を進めていく上で役立つのが、AVEVAのインダストリアルデータプラットフォームである。AVEVA Industrial Platform & Application 事業本部クラウドソリューション営業部 部長の村林智氏は「社会や産業に求められるカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、DXを推進するための“ハブ”になると考えている」と強調する。
まずカーボンニュートラルへの対応では、CO2の排出量を管理するだけでなく、エネルギー利用をどのように転換していくかの方向性も見定める必要がある。AVEVAは現行エネルギーシステムの脱炭素化、再生可能エネルギーへの移行の加速、新エネルギーの開拓といったエネルギー転換の各プロセスにおいて、海外市場で豊富な導入実績があるという。
サーキュラーエコノミーについては、モノづくりにおける開発と製造、サプライヤーなどに加えて消費者をもつなげる「コネクテッドコミュニティー」によって、さまざまなデータを共有していく必要が出てくる。「このコネクテッドコミュニティーでは安全安心にデータの受け渡しを行えるようにしなければならない。そこで役立つのが『AVEVA Data Hub』だ」と説明する。実際に、ワックスを製造するIGI Waxは、AVEVA Data Hubを用いたコネクテッドコミュニティーによってサードパーティーの分析サービスを活用し、増益と増産、廃棄物の削減などを実現できたという。
DX推進では、クラウド上に展開するAVEVA Data Hubに加えて、エッジデバイスのデータを収集する「Edge Data Store」と、プラントの時系列データ管理で広く用いられているPI Systemの「AVEVA PI Server」を連携することで、ハイブリッドなインダストリアルデータプラットフォームとして活用できる。さらには、「AVEVA AIM」に基づくプラント設計などのエンジニアリングデータと、PI Systemのプラント運用データを組み合わせればより精密なデジタルツインの構築が可能になり、ハノーバーメッセ2023でも注目されたインダストリアルメタバースにおけるリモートオペレーションやデザインレビューが可能になる。
村林氏は「AVEVAのインダストリアルデータプラットフォームでは、全てにAI機能を実装している。生成AIについても、現在PoC(概念実証)を進めており、ここまでの数カ月で実用的な活用に向けた知見も蓄積できている。2023年10月に米国サンフランシスコで開催するユーザーイベントで成果を報告できるだろう」と述べている。
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