新車生産は日米が好調、中国は低水準の前年同月をさらに下回る自動車メーカー生産動向(2/3 ページ)

» 2023年07月24日 06時00分 公開
[MONOist]

ホンダ

 ホンダも部品供給の改善が鮮明だ。5月のグローバル生産台数は、前年同月比34.7%増の32万9066台で3カ月連続のプラスだった。このうち海外生産は同37.4%増の28万4556台で、3カ月連続で増加した。特に主要市場の北米が前年の半導体不足の反動により大きく伸長し、同65.6%増と5カ月連続のプラスだった。

 中国も好調で、同25.4%増と3カ月連続で増加し、中国で生産する日系5社で唯一の前年超えとなった。その結果、アジアトータルでも同18.7%増と3カ月連続で増加した。ただ、海外生産を2019年5月実績と比較すると25.8%減と、ホンダの生産能力からはまだまだ低水準といえる。

 国内生産は、前年同月比19.4%増の4万4510台と4カ月連続で前年実績を上回った。半導体不足の影響が大きく、2021年を底に年々回復している様子が伺える。それでも半導体不足による車両供給への影響は依然として続いており、国内販売の納期では、量販車種の「N-BOX」は3カ月、「フリード」のHEVは4カ月程度と改善しているが、多くの登録車が半年以上、「フィット」と「ステップワゴン」のガソリン車は1年以上、「シビック」に至っては3月から受注を停止している。

日産自動車

 日産自動車も回復基調が続いている。5月のグローバル生産は、前年同月比18.5%増の27万4551台と4カ月連続で増加した。中でも国内生産は、同99.2%増の5万3393台と倍増し、13カ月連続で前年実績を上回った。増加幅も8社で最大となった。これは「エクストレイル」や「セレナ」といった国内市場向け新型車が好調な他、輸出も同269.3%増と大幅に増加した。ただ、コロナ禍前の2019年5月との比較では12.4%減にとどまった。

 海外生産は、前年同月比7.9%増の22万1158台と4カ月連続で前年実績を上回った。北米は部品供給の改善や新型車効果などもあり好調で、米国は同46.8%増と2カ月連続のプラス、メキシコも同50.0%増と6カ月連続で増加。英国も「キャシュカイ」の好調により同48.9%増と好調が続いている。

 一方、中国は同27.2%減と4カ月ぶりにマイナスへ転じた。前年がロックダウンからの挽回生産を実施しており反動が表れた。なお、この台数は小型商用車(LCV)を手掛ける東風汽車(DFAC)の株式売却に合わせ、LCVを除いて前年比を比較したもの。日産の中国事業として前年実績にLCVを含むと同33.0%減となる。

スズキ

 スズキの5月のグローバル生産は、前年同月比8.3%増の27万2032台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。8社の順位では定位置の4位だが、3位の日産との差は2500台程度まで縮まっている。要因は世界生産の3分の2を占めるインドの回復で、同9.4%増と4カ月ぶりに増加。その結果、海外生産合計は同7.8%増の20万6700台と4カ月ぶりのプラスとなった。

 国内生産は、前年同月比10.1%増の6万5332台と3カ月連続で増加した。輸出は同18.0%減と落ち込んだものの、国内市場向けが伸長した。ただ、スズキでは半導体不足を理由に6月には湖西工場(静岡県湖西市)と相良工場(静岡県牧之原市)の稼働を停止しており、足元では依然として部品供給に不安を抱えている状況だ。

ダイハツ工業

 8社で最も好調だったのがダイハツだ。5月のグローバル生産台数は、前年同月比59.8%増の11万5686台と2カ月ぶりに増加し、8社の世界生産で最大の伸び幅となった。特に好調なのが海外生産で、同58.7%増の6万9044台と2カ月ぶりのプラスで、5月の海外生産としてこれまで最多だった2018年を上回り過去最高を更新した。内訳はインドネシアが同77.2%増、マレーシアが同37.4%増とそれぞれ高い伸びを示した。

 国内生産も好調で、前年同月比61.4%増の4万6642台と2カ月ぶりのプラス。登録車が同59.2%増、軽自動車も同62.2%増とそれぞれ増加した。ただ、前年が中国からの部品供給難などにより大阪の本社工場(大阪府池田市)や滋賀工場(滋賀県竜王町)、ダイハツ九州の工場で相次ぎ稼働停止を実施した反動が要因で、2021年5月との比較では26.6%減という低水準にとどまっている。実際に5月はブレーキ部品に搭載する半導体の供給が滞り、「ハイゼット」や「ムーヴキャンバス」などを生産するダイハツ九州の大分第1工場(大分県中津市)で計10日間にわたる稼働停止を実施した。

 また、ダイハツの国内生産は足元でもトラブルが相次いでいる。ロッキー/ライズのHEVで発覚したポール側面衝突試験の認証手続き不正による生産調整を実施する他、リヤアクスルなどのユニット部品を調達する浅野歯車工作所で工場火災が発生。これにより本社工場や滋賀工場、ダイハツ九州の工場で最大12日間の稼働停止を余儀なくされた。6月以降の国内生産は再び減産局面に転じることが予想される。

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