オリジナルマインドが空圧式射出成形機の試作機を披露、2023年秋に販売開始予定日本ものづくりワールド 2023

オリジナルマインドは「日本ものづくりワールド 2023」内の「第6回 次世代3Dプリンタ展」に出展し、開発中の空圧式射出成形機の試作機を参考出品し、実演デモを披露していた。

» 2023年06月26日 07時30分 公開
[八木沢篤MONOist]

 オリジナルマインドは「日本ものづくりワールド 2023」(2023年6月21〜23日、東京ビッグサイト)内の「第6回 次世代3Dプリンタ展(AM Japan)」に出展し、開発中の空圧式射出成形機の試作機を参考出品し、実演デモを披露していた。

オリジナルマインドは空圧式射出成形機の試作機を参考出品した オリジナルマインドは空圧式射出成形機の試作機を参考出品した[クリックで拡大]

 空圧式射出成形機(試作機)は、ちょっとしたアイデアをすぐに形にできる同社の手動式卓上射出成形機「INARI」シリーズの手軽さやコンパクトさはそのままに、より安定した成形品質を実現する現在開発中の装置である。レバー操作で簡単に金型の脱着が可能で、ボタン1つで成形が行える。INARIシリーズよりも幅広い成形材料に対応し、成形量も大幅にグレードアップしているという。装置の外形寸法は620×330×870mm。AC100V電源で動作し、消費電力は800Wとなっている

 「手動式のINARIを2017年ごろから販売しているが、展示会などで『自動化してほしい』という要望をいただくことが多々あったため、自動化に対応した空圧式の射出成形を開発するに至った。2023年秋の販売開始に向けて、今回試作機を参考出品することにした」(説明員)

空圧式射出成形機(試作機)の主な仕様 空圧式射出成形機(試作機)の主な仕様(開発中のため仕様変更になる可能性あり)[クリックで拡大]

 空圧式射出成形機(試作機)の主な仕様は次の通りだ(開発中のため仕様変更になる可能性あり)。最大押し出し量は、シリンダー径(直径)10mmで8cc、15mmで20cc、20mmで35ccとなる。加熱温度上限は320℃。加圧方式はエアシリンダーによる空圧式で、加圧能力は約2t(トン)だ。取り付け可能な型のサイズは厚さ10〜80mmで、展示ブースでは同社のデスクトップ型CNCフライス「KitMill AST200」で製作した金型を用いて、インサート成形の実演デモを行っていた。

 対応可能な材料は、PS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)、ABS、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、TPE(エラストマー)、EVA(エチレン酢酸ビニル)などの汎用(はんよう)プラスチック、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PA6(ナイロン6)、PA66(ナイロン66)、POM(ポリアセタール)、PC(ポリカーボネート)などのエンジニアリングプラスチックとなる。

 「世の中で、環境負荷の高い石油由来の材料からサステナブル材料への置き換えが進み始めている。そうした製品のプロトタイプを行う際、大きな金型を用意して大型の成形機で試作しようとすると膨大な時間を要する。それでは開発が追い付かないため、卓上型で素早く気軽に試せる射出成形機のニーズが高まっている。今回の試作機はより理想的な試作環境として使ってもらえるのではないかと考えている。価格(税込み)も64万8000円を予定しており、導入しやすい価格帯となっている」(説明員)

 展示ブースでは、鉛筆の芯を金型にセットし、石灰石を主原料とする環境配慮型の樹脂材料を用いて簡易ペンのインサート成形を行う様子を披露していた。

デモ1デモ2デモ3 (左)装置中央の投入口から材料を入れる/(中央)ボタン1つで成形開始/(右)簡易ペンの出来上がり(指で隠れているが鉛筆の芯がインサート成形されている)[クリックで拡大]

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