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» 2023年06月15日 06時30分 公開

無人自動運転コンバインがセンサー大盛りの理由、トラクターや田植え機と何が違うスマートアグリ(2/2 ページ)

[朴尚洙MONOist]
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AIカメラにミリ波レーダー、RTK-GNSS、レーザーセンサーなどを搭載

 DRH1200A-Aは4つの特徴がある。1つ目は「人、障害物の検出」である。谷氏が指摘する通り、トラクターや田植え機とは異なり、コンバインは収穫対象である稲や麦などの作物が生育した状態で自動運転を行うことになるが、さまざまな理由によって圃場内には他の作業者や車両などが存在する可能性がある。つまり、作物の中に立っている人の検出、圃場内の車両の検出を可能とする一方で、作物や鳥などを誤検出して収穫作業を止めないようにしなければならない。

「DRH1200A-A」のセンサー群 「DRH1200A-A」のセンサー群。上から、RTK-GNSSのアンテナ、レーザーセンサー、AIカメラ、ミリ波レーダーの順に並んでいる[クリックで拡大]

 そこで採用したのが、人検出用のAI(人工知能)カメラと車両検出用のミリ波レーダーである。AIカメラは機体の前後と左右の4台、ミリ波レーダーは機体の前後の2台を搭載しており、自動運転時の最高速度である時速7.2kmで走行している場合も、検出した人や車両から5m以上離れた距離で自動停止することができる。

「DRH1200A-A」の車両後方を検知するセンサー 「DRH1200A-A」の車両後方を検知するセンサー。ミリ波レーダーとAIカメラが左右に並んでいる[クリックで拡大]
カラスを誤検知して停止することがなかった 会見が行われた柏染谷農場には多くのカラスがいたが、「DRH1200A-A」はカラスを誤検知して停止することがなかった[クリックで拡大]

 2つ目の特徴は「自動運転領域の拡大」である。DRH1200A-Aは、収穫を行う圃場のマップ作成のために圃場の周囲1周分だけ作業者が手動で運転して刈り取りを行う必要があるが、それ以降は全て無人自動運転で作業を完了できる。最初の1周分である最外周を除いた、圃場の約90%が自動運転領域となる。これに対して、現行のクボタの自動運転コンバインである作業者が搭乗した状態での自動運転による収穫作業の機能を搭載する「WRH1200A2」は、外周3〜4周分を手動で刈り取らなければならず、自動運転領域は圃場の71%にとどまっていた。

 自動運転領域の拡大の実現に貢献したのが、車両前方向に搭載するレーザーセンサーと、熟練者と同等の効率的な旋回動作を行う制御である。圃場の周囲1周分を手動で刈り取ることによって行う圃場のマップ作成では、数cm精度の測位が可能なRTK-GNSSを用いた位置情報によって圃場の外形を正確に捉えながら、レーザーセンサーで圃場周囲にある畔の高さや、畔にあるポールなどの障害物の情報も取得しマップに反映する。この畔の高さの情報があることで、圃場の端で行う旋回動作時に刈り取り部が畔にぶつからないように上げてぎりぎりまで前進して旋回するスペースを確保できるという。

 3つ目は「倒伏した作物の刈り取り」への対応だ。稲や麦といった作物の高さに合わせて、刈り取りリールの高さや前後などの位置を合わせるとともに、車速も変更する。作物の高さの検知には、自動運転領域の拡大で畔の高さなどを検知するレーザーセンサーを用いている。倒伏角度は60度(地面からの角度は30度)まで対応可能である。

 4つ目の「刈り取り詰まり自動除去」は、詰まり検知センサーによって刈り取り部の詰まりを検知し、電動刈り取り逆転装置で詰まりを自動除去して刈り取りを再開する機能である。

 なお、DRH1200A-Aの開発には約4年をかけたという。今回搭載した無人自動運転機能は有人監視の下でという制限があり、農機の自動化レベルでは「レベル2」にとどまる。これは、農林水産省が2023年3月に定めたガイドラインに基づくものだが、今後は遠隔監視による無人自動運転機能を実現する「レベル3」への進化も求められるようになる。クボタは、今後も農機のさらなる自動化レベルの進化に向けて開発を継続する考えだ。

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