クラレは、「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」で、光の屈折率やガラスの厚みの影響によりフロントガラスを撮影した際にADASカメラ画像で生じる光学ひずみを解消する自動車用中間膜「CamViera」を披露した。
クラレは、「人とくるまのテクノロジー展 2023 横浜」(2023年5月24〜26日、パシフィコ横浜)に出展し、ADAS(先進運転支援システム)カメラの画像で生じる光学ひずみを解消する自動車用中間膜「CamViera」や車載部品の固定で役立つ「熱膨張固定シート」、部品の塗装レス化に貢献するメタクリル樹脂「パラペット」、接着剤が不要な加飾フィルム「パラピュア」を披露した。
CamVieraは、自動車のフロントガラスにあるADASカメラエリアに装着することで、光の屈折率やガラスの厚みの影響によりフロントガラスを撮影した際にADASカメラ画像で生じる光学ひずみを最小限とし、ひずみの少ない画像を得られるようにする。ADASカメラエリアにCamVieraを装着する際には、カメラの撮影範囲に既存のラミネーションプロセスを使ってパッチ状の同製品を貼り付ければよい。さらに、傾斜角が大きいため光学ひずみの発生しやすいフロントガラスでも性能を発揮し、カメラの撮影範囲に合わせて自由にデザイン可能だ。クラレのブース担当者は「CamVieraは既に製品化しており、初採用を目指して自動車メーカーなどに訴求している」と話す。
熱膨張固定シートは、R&D段階の製品で、対象の部品を挟むように取り付け、シートに熱を与え膨張させることで指定のエリアの隙間を埋めて部品を固定できる。常温保管可能なシートで、厚さ方向にのみ膨張する。
「硬化に時間がかかる」「保管時の温度管理が面倒」「液漏れやはみ出しで部品が汚れてしまう」といった課題を持つ熱硬化型接着剤の代替品として使える。
パラペットは、車体の外観部で使えるメタクリル樹脂で、艶と光沢があり美しい色合いが長持ちし、自動車の美観維持に貢献する。さらに、原材料は透明樹脂で着色材を混ぜて多様なカラーリングを施しやすいため、さまざまなカラーのパラペットをラインアップしており、光透過にも応じている。リサイクルも容易で、温室効果ガス(GHG)排出量をより減らせる。
クラレのブース担当者は「一般的に車体の塗装では、光沢感を出しづらく、自動車の長期利用で塗装した部品が変色することも多い。パラペットは、こういった問題を解決するだけでなく、『黒色以外の部品も塗装レス化したい』や『リサイクル可能な材料を使用したい』といった要望に応えられる。同製品は現在量産化を予定している段階だ」と語った。
パラピュアは、R&D段階の製品で、加飾フィルムと接着層がセットとなったフィルムで、極性/非極性を問わず、ポリプロピレン(PP)をはじめ、さまざまな種類の基材への接着に対応する。また、使用後のフィルムは加熱により剥離可能なため基材樹脂のリサイクルが行える。
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