PFN子会社が家庭用ロボットを開発、家具の自律移動で住空間はより直感的にロボット開発ニュース(1/2 ページ)

Preferred Networks(PFN)の子会社で自律移動ロボットを手掛けるPreferred Roboticsは、人の指示通りに動く家具「スマートファニチャー」を目指して開発した家庭用自律移動ロボット「カチャカ」を発表した。

» 2023年02月02日 07時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

 Preferred Networks(PFN)の子会社で自律移動ロボットを手掛けるPreferred Robotics(PFRobotics)は2023年2月1日、東京都内で会見を開き、人の指示通りに動く家具「スマートファニチャー」を目指して開発した家庭用自律移動ロボット「カチャカ(kachaka)」と専用家具「カチャカシェルフ」を発表した。同日から公式オンラインストアと、b8taの4店舗、蔦屋家電+などで特典付き先行予約の受付を開始する。製品出荷と一般発売は同年5月の予定。

会見の登壇者と「カチャカ」「カチャカシェルフ」 会見の登壇者と「カチャカ」「カチャカシェルフ」。登壇者は左から、Takram Japan 代表取締役の田川欣哉氏、PFRobotics 代表取締役 CEOの礒部達氏、PFN 代表取締役 CEOの西川徹氏、GEN SUZIKI STUDIO 代表/プロダクトデザイナーの鈴木元氏。手前にあるのが、棚が2段のカチャカシェルフ2段、カチャカ本体、棚が3段のカチャカシェルフ3段[クリックで拡大]
「カチャカ」が自律移動する様子。食器を運んできたり、下膳に利用したりできる[クリックで再生]

 カチャカは、本体である自律移動ロボットが、専用家具であるカチャカシェルフと下側に入り込んでドッキングし、専用家具ごと自律移動することによって、シェルフの棚に載せてあるさまざまなモノを運ぶことができる。音声認識や専用のスマートフォンアプリによる指示で、カチャカシェルフを呼び寄せたり、所定の場所に移動させたりすることが可能だ。最大積載荷重が20kgあるので、複数冊の本や飲料の入ったビンやペットボトルなどの重量物を運ぶこともできる。

 利用シーンはさまざまだが「仕事が終わったタイミングや寝る前に“積読本”を持ってきてくれる」「キッチンから食卓に、食器や調味料を持ってきてくれる」「子どもの荷物を、玄関から子ども部屋まで運んでくれる」などを挙げており、さまざまな活用法が考えられるとしている。

「カチャカ」の利用シーンその1 「カチャカ」の利用シーン。「仕事が終わったタイミングや寝る前に“積読本”を持ってきてくれる」[クリックで拡大] 出所:PFRobotics
「カチャカ」の利用シーンその2 「カチャカ」の利用シーン。「キッチンから食卓に、食器や調味料を持ってきてくれる」[クリックで拡大] 出所:PFRobotics
「カチャカ」の利用シーンその3 「カチャカ」の利用シーン。「子どもの荷物を、玄関から子ども部屋まで運んでくれる」[クリックで拡大] 出所:PFRobotics

 価格(税込み)は、カチャカ本体と専用家具については、月額定額で48回分割払いする方式と一括払いを用意。カチャカ本体は、月額定額払いで4980円(×48回)、一括払いで22万8000円。専用家具は、棚が2段のカチャカシェルフ2段が月額定額払いで520円、一括払いで2万3800円、棚が3段のカチャカシェルフ3段が月額定額払いで651円、一括払いで2万9800円。これらハードウェアとは別に、カチャカ本体のソフトウェアの利用に必要なカチャカサブスクリプションが月額980円となっている。

「カチャカ」の構成 「カチャカ」の構成。カチャカ本体と専用家具の「カチャカシェルフ」、そして「カチャカサブスクリプション」から構成されている[クリックで拡大] 出所:PFRobotics

 PFRobotics 代表取締役 CEOの礒部達氏は「“すべての人にロボット”をテーマに5年間開発してきた中で、さまざまな失敗を重ねた上でたどりついたのが、カチャカのスマートファニチャーというコンセプトだ。住空間の中で、家具は根が生えたように動かないという常識は過去のものとなり、カチャカによって住空間はより直感的になる。既に数十人の先行ユーザーに利用してもらっており、さまざまな使いこなしをしてもらっているが、新しい使い方はいくらでも出てくるだろう。これまでにない製品だからこそ、創意工夫で使い方は無限大になる」と語る。

 PFN 代表取締役 CEOの西川徹氏は「PFNのあらゆる事象をコンピュータで計算可能にするというビジョンに向けて、動くコンピュータであるロボットは、計算可能にする場所を広げるという観点で重要な役割を果たす。さまざまな環境に対応するという柔軟性をロボットで実現することは大きな課題だったが、そこで役立ったのが深層学習技術を中核とするAI(人工知能)だ。さらにカチャカでは、プロダクトデザインやハードウェア技術、そして受け入れ可能な価格を実現するコスト削減などの課題をクリアする必要があったが、これらもチームワークによって解決した」と述べる。

 なお、家庭内を動き回るカチャカが生活の中に溶け込み、人とロボットが自然に共存できるような設計に向けたデザインは、プロダクトデザイナーの鈴木元氏とデザインイノベーションファームTakramと共同で行った。

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