ファイル名に版数を含めるべきか? 含めないべきか? どちらがよいのかを考えてみます。まずは、ファイル名に版数を含めない場合です。
ファイル名に版数を含めない場合は、PDMシステムのシステム版数(Ver)で管理します。筆者が使用するPDMシステム「COLMINA CADデータ管理(旧:PLEMIA Concurrent Design Manager)」(以下、CDM)を例に解説します。
CDMでは「承認済」状態のデータを「持出」にすることで、システム版数を上げることになります。この持出により部品編集を行います。
CDMから見ると図1のように、Ver=0が「持出」、Ver=1が「仕掛中」であることが分かります。これにより、同一ファイル名、すなわち同一の図面番号の部品の履歴を追跡できるのです。
ファイル名に版数を含めない場合の注意点を以下にまとめます。
上記1.2.を理解した上で、ファイル名に版数を含めない運用方法が、自社に適しているかどうかを判断すべきです。
最新の版数ではない部品や組立図を参照/利用できるのか? については、問題なく、参照/利用できます。その際、重要になるのが「承認」です。
CDMでは、部品図や組立図を承認した際に、その時点の配下の子供たちのバージョンをデータベースに記録します。設計作業では、組立図が変更されるものとして、部品図がバージョンアップされます。例えば、機能上の問題があったり、部品を追加するためのネジ穴が増えたりなどと、その状況はさまざまです。このような場合、部品だけでなく、組立図も更新されます。
これらを正式図面とするために、「承認」の設定を行います。ここがPDMシステムによる3Dデータ管理のポイントでもあるのですが、例えば、正式ではないもの、つまり他の人が参照できないものは、「仕掛中(=設計作業中)」「承認確認中」などの状態になっています。承認済みとしてCDMに登録された“正”データだけが、過去のバージョン履歴を備えたファイル(過去の履歴と関連付けられたバージョンファイル)として取り扱うことができます。
また、組立図については、過去のバージョン履歴を備えたファイルと、さらにどの組立図を承認した際の子供ファイル(サブアセンブリや部品)のバージョンなのかも併せて確認できます。メンテナンスや改造を行う際、必ずしも最新の状態ではなく、履歴をさかのぼり、その当時の構成を確認する必要があります。組立図と、組立図の配下にあるサブアセンブリや部品図のバージョンの承認をその都度行っていれば、それぞれの構成を取り出すことができます。
組立図を承認せずに、部品図のみを承認した場合はどうなるのでしょうか? 例えば、部品図の更新が繰り返され、その都度承認されたことで、正式な複数の版を持ってはいるが、それを使用している組立図が承認されていない場合、「それぞれの子供の履歴を持つ親がいない」ということになり、組立図の構成を見ることはできません。
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