大阪大学は、COVID-19の難治化予測バイオマーカーとして、ヒストンタンパクMACROH2A1を同定した。また、MACROH2A1がCOVID-19の重症肺炎の病態に関わっていることも明らかにした。重症化の予測ツールとしての応用などが期待される。
大阪大学は2022年12月9日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の難治化予測バイオマーカーとして、DNAを核内に折りたたむヒストンタンパクMACROH2A1を同定したと発表した。また、MACROH2A1が重症COVID-19肺炎の病態に関わっていることも明らかにした。
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COVID-19は依然として重症例があり、死亡に至る例も少なくない。早期に重点的な対応をするには、適切に治療しても病気が進行する「難治化」を予測する必要があり、簡便に検査できるバイオマーカーが求められていた。
研究グループは、COVID-19患者から採取した血清中のエクソソームをタンパク網羅的解析することで、3046種のタンパクからMACROH2A1を難治化のバイオマーカーと同定した。
また、血中の免疫細胞と肺組織中のさまざまな細胞について、一細胞レベルの遺伝子発現解析を実施したところ、単球においてMACROH2A1が顕著に増加しており病態形成に関わっていることが分かった。自然免疫細胞である単球は、抗ウイルス免疫で重要なことが知られている。
細胞外小胞の一種であるエクソソームは、脂質二重膜で囲まれているため、細胞内の分子情報を保有したままの状態で血液から容易に採取できる。研究グループは、今回の成果によって、1滴の血液からCOVID-19の難治化が予測可能になり、さらには新薬開発のターゲットにもなり得るとしている。
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