国際協力で制御システムを守れ――「サイバーセキュリティウィーク」レポート産業制御システムのセキュリティ(1/3 ページ)

経済産業省とIPA ICSCoEは2022年10月24〜28日に、「インド太平洋地域向け日米EU産業制御システムサイバーセキュリティウィーク(サイバーセキュリティウィーク)」を開催。オンラインセミナーを通して日米欧の取り組みや政策動向を紹介した他、ICSCoEでシミュレーターを用いたハンズオン演習も行われた。

» 2022年12月12日 07時00分 公開
[高橋睦美MONOist]

 つながる「モノ」やつながる産業制御システム(ICS)のリスクが指摘されて久しい。ただ、かつては遠い海の向こうの話と考えられていたものが、ランサムウェアをはじめとするセキュリティインシデントの多発を背景に、いよいよ人ごとではない身近なリスクと捉えられるようになっている。

 経済産業省とIPA(情報処理推進機構)のICSCoE(産業サイバーセキュリティセンター)は、こうした状況を背景に2022年10月24〜28日に、「インド太平洋地域向け日米EU産業制御システムサイバーセキュリティウィーク(以下、サイバーセキュリティウィーク)」を開催した。

 これは、ASEANを含めたインド太平洋地域のナショナルCERT(Computer Emergency Response Team)や重要インフラ事業者のセキュリティ担当者に加え、各国のセキュリティ政策担当者を対象にしたハイブリッド形式のイベントで、米国政府およびEUも協力。オンラインセミナーを通して日米欧の取り組みや政策動向を紹介した他、ICSCoEでシミュレーターを用いたハンズオン演習が行われた。

経済産業省の上村昌博氏 経済産業省の上村昌博氏[クリックで拡大]

 同年10月26日に行われたオープニングセレモニーにおいて、経済産業省 サイバーセキュリティ・情報化審議官の上村昌博氏は「より洗練されたサイバー攻撃が増加し、政府のみならず重要インフラへの影響が増大している。インド太平洋地域において、電力やガスといった重要インフラがサイバー攻撃を受ければ、地域経済全体に影響が及ぶ恐れがある」と指摘。実践的な演習を積み、ナレッジを共有することによって、地域全体のサイバーセキュリティ対策を強化し、ひいては自由で開かれたインド太平洋地域の社会経済の発展に寄与したいとした。

 また、オンラインで参加した米国国土安全保障省 CISA(サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁) 長官代行のエリック・ゴールドスタイン(Eric Goldstein)氏は「ICSのセキュリティは、グローバルなサイバースペースを守る上で最も重要な取り組みの一つ」と述べた。そして、この目的を達成するために、JCDC(Joint Cyber Defense Collaboration)を拡大してICSコミュニティーとの連携を強化し、官民連携を通してリスク軽減に向けた情報共有やコラボレーションを推進するとともに、サイバーセキュリティに関するパフォーマンス策定など施策を進めることを紹介した。

 ゴールドスタイン氏は「今、脅威はますます複雑化し、巧妙になっている。こうしたリスクに対処するためには、われわれは各国とのパートナーシップを通して自らの安全とセキュリティを強化し、生活に欠かせない資産を守っていかなければならない」とし、日米欧およびインド太平洋地域のコラボレーションや関係性を強化していきたいとした。

オープンニングセレモニーの様子 オープンニングセレモニーの様子。米国CISAのエリック・ゴールドスタイン氏はオンラインで参加[クリックで拡大]

 また同じくオンラインで登場した欧州委員会 通信ネットワーク・コンテンツ技術総局 デジタル社会・トラスト・サイバーセキュリティ局長のロレーナ・ボワ・アロンゾ(Lorena Boix Alonso)氏は、ロシアのウクライナ侵攻に関連し、サイバー攻撃も軍事攻撃の一部として利用されていることに触れた。そして「どんな国も、単独でサイバー空間の安全を確保することができない。われわれは、同じ考えを持つ国々とこれまで以上に緊密に協力する必要がある」と述べ、「サイバーセキュリティ協力に関するEU−アジア宣言」をはじめ、サイバーセキュリティの領域での協力関係を深めていくとした。

 「サイバー空間をグローバルでオープン、安定的かつ安全に保つためには、国際協力が不可欠であると信じている。今回のプログラムを通して身につけたスキルを有効に活用し、互いの情報やアイデア、意見を交換して国境を越えて協力していくことが、協調的なサイバー危機対応の鍵となるだろう」(アロンゾ氏)

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.